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エクセルで箱ひげ図ができないのはなぜ?作成できるバージョンと作り方を解説!

データのばらつきや分布を視覚的に、そして分かりやすく表現したい。そのような時に非常に役立つのが「箱ひげ図」です。最小値、最大値、中央値、そして四分位数を一つの図で示すことができるため、複数のデータ群を比較する際に絶大な効果を発揮します。しかし、いざexcelで箱ひげ図を作ろうとしても、「グラフのメニューに見当たらない」「なぜかうまく作成できない」と困ってしまった経験はありませんか。実は、エクセルで箱ひげ図ができないのには、はっきりとした理由が存在します。また、無事に作成できたとしても、横軸の調整や外れ値の表示など、細かいカスタマイズでつまずいてしまうことも少なくありません。この記事では、エクセルで箱ひげ図を作成できるバージョンから、基本的な作り方、そして複数のデータを扱う方法や応用的なカスタマイズまで、徹底的に調査し、解説していきます。

この記事を読むことで、以下の点が明らかになるでしょう。

・箱ひげ図を作成できるエクセルのバージョン

・初心者でも分かる箱ひげ図の基本的な作成手順

・複数のデータセットを分かりやすく比較するグラフの作り方

・外れ値の非表示や平均値の表示など、応用的なカスタマイズ方法


エクセルで箱ひげ図ができない原因と基本の作り方

ここでは、まず「エクセルで箱ひげ図ができない」という問題の最も根本的な原因と、それをクリアしている場合の基本的な作成手順について解説していきます。多くの場合、作成できない理由は非常にシンプルなところにあります。ご自身の環境を確認し、もし作成可能なバージョンであれば、ここで紹介する手順に沿って、まずは簡単な箱ひげ図を一つ作ってみることから始めましょう。また、古いバージョンをお使いの場合の代替案についても触れていきます。データの可視化への第一歩を、順を追って見ていきましょう。

箱ひげ図とは?データの分布を可視化

作成可能なエクセルのバージョンを確認

箱ひげ図の基本的な作成手順

複数のデータを並べて表示する方法

古いバージョンで箱ひげ図を作る代替案

グラフメニューに箱ひげ図がない時の対処法

箱ひげ図とは?データの分布を可視化

箱ひげ図の作り方を学ぶ前に、そもそも箱ひげ図がどのようなグラフで、何を示しているのかを理解しておくことが大切です。箱ひげ図は、データの分布やばらつきを視覚的に把握するために用いられる統計グラフの一種です。主に五つの要約統計量(最小値、第1四分位数、中央値、第3四分位数、最大値)を一つの図で表現します。中央の「箱」の部分は、データ全体の真ん中50%がどの範囲に分布しているかを示しており、箱の下辺が「第1四分位数(データ全体を小さい方から並べた時の25%点)」、上辺が「第3四分位数(75%点)」を表します。箱の中にある線は「中央値(メディアンとも呼ばれ、50%点)」です。そして、箱から上下に伸びる「ひげ」は、データの全範囲を示しており、ひげの先端がそれぞれ「最小値」と「最大値」に対応します。また、他のデータから大きく外れた値は「外れ値」として、点やアスタリスクで個別に表示されることもあります。これにより、単なる平均値だけでは分からないデータの散らばり具合や偏りを、一目で直感的に理解することが可能になるのです。

作成可能なエクセルのバージョンを確認

エクセルで箱ひげ図ができないという問題に直面した時、まず真っ先に確認すべき点は、お使いのエクセルのバージョンです。実は、エクセルの標準機能として箱ひげ図が搭載されたのは、比較的最近のことなのです。具体的には、「Excel2016」以降のバージョンで、この機能が利用可能になりました。したがって、Excel2019、Excel2021、そして常に最新の機能が提供されるサブスクリプション版の「Microsoft365」に含まれるExcelであれば、問題なく箱ひげ図を作成することができます。一方で、Excel2013、Excel2010、それより前のバージョンをお使いの場合は、残念ながら「挿入」タブのグラフメニューの中に、箱ひげ図の項目は存在しません。これが、エクセルで箱ひげ図ができない最も一般的で根本的な原因です。ご自身のPCにインストールされているエクセルのバージョンが分からない場合は、エクセルを開き、「ファイル」タブをクリックし、左側のメニューから「アカウント」を選択することで確認できます。「製品情報」の欄にバージョン情報が記載されていますので、まずはこちらをチェックしてみてください。

箱ひげ図の基本的な作成手順

お使いのエクセルが対応バージョンであることを確認できたら、いよいよ箱ひげ図を作成してみましょう。その手順は非常にシンプルで、直感的に操作することが可能です。

  1. データの入力: まず、箱ひげ図にしたいデータをワークシートに入力します。この時、比較したいデータ群が一つの列にまとまっている状態が基本となります。例えば、あるクラスのテストの点数を箱ひげ図にしたい場合、A列に生徒全員の点数を縦に並べて入力します。
  2. データ範囲の選択: 入力したデータ全体をマウスでドラッグして選択します。見出し(例:「テストの点数」)も一緒に選択しておくと、グラフのタイトルとして自動的に反映されるため便利です。
  3. グラフの挿入: データを選択した状態で、リボンの「挿入」タブをクリックします。
  4. 箱ひげ図の選択: 「グラフ」グループの中にある「統計グラフの挿入」(滝グラフなどのアイコン)をクリックします。すると、いくつかのグラフの種類が表示されるので、その中から「箱ひげ図」を選択します。

たったこれだけの操作で、ワークシート上に基本的な箱ひげ図が作成されるはずです。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、一度手順を覚えてしまえば、いつでも手軽にデータの分布を可視化できるようになるでしょう。

複数のデータを並べて表示する方法

箱ひげ図の真価は、複数のデータ群の分布を比較する際に発揮されます。例えば、クラスA、クラスB、クラスCのテスト結果を比較したい場合、それぞれの箱ひげ図を並べて表示することで、どのクラスの成績が良く、どのクラスのばらつきが大きいかなどを一目で把握できます。エクセルで複数の箱ひげ図を並べて作成する方法も、非常に簡単です。重要なのは、元となるデータの並べ方です。それぞれのデータ群を、別々の列に入力するのがポイントです。例えば、A列にクラスAの点数、B列にクラスBの点数、C列にクラスCの点数、といった具合にデータを準備します。この時、各列の先頭行(1行目)に「クラスA」「クラスB」「クラスC」といった見出しを入力しておくことを忘れないでください。データの準備ができたら、見出しを含めたすべてのデータ範囲(この例ではA列からC列のデータ全体)を選択します。あとは、基本的な作成手順と同様に、「挿入」タブから「統計グラフの挿入」を選び、「箱ひげ図」をクリックするだけです。これにより、三つのクラスの箱ひげ図が横に並んだグラフが自動的に作成され、それぞれの分布を簡単に見比べることができるようになります。

古いバージョンで箱ひげ図を作る代替案

もしお使いのエクセルが2013以前のバージョンであった場合、標準機能で箱ひげ図を作成することはできません。しかし、どうしても古いバージョンで箱ひげ図のようなグラフを作成したいという場合には、いくつかの代替案が存在します。一つは、積み上げ棒グラフと誤差範囲(エラーバー)の機能を組み合わせて、手作業で箱ひげ図を「描画」する方法です。この方法では、まずQUARTILE関数などを使って、データから第1四分位数、中央値、第3四分位数などを手動で計算する必要があります。そして、それらの値を元に積み上げ棒グラフを作成し、ひげの部分を誤差範囲機能で追加していく、という非常に複雑で手間のかかる作業が求められます。正直なところ、この方法はかなりの上級者向けであり、作成に時間がかかる上に、データの更新にも柔軟に対応できません。もう一つの代替案としては、箱ひげ図作成用のテンプレートやアドインを探して利用することです。インターネット上には、有志が作成したマクロを含むテンプレートなどが公開されている場合があります。ただし、これらはマイクロソフト公式のものではないため、動作の安定性やセキュリティ面でのリスクも考慮する必要があります。現実的な選択肢としては、Microsoft365など、最新の機能が使えるバージョンへのアップグレードを検討するのが、最も効率的で確実な方法と言えるかもしれません。

グラフメニューに箱ひげ図がない時の対処法

「自分のエクセルは2016以降のはずなのに、なぜかグラフメニューに箱ひげ図が見当たらない」という稀なケースに遭遇することもあるかもしれません。このような状況で考えられる原因はいくつかあります。まず最も可能性が高いのは、やはりバージョンの誤認です。会社などで使っているPCの場合、自分では新しいバージョンだと思っていても、実際には古いバージョンがインストールされていることがあります。前述の方法で、再度正確なバージョン情報を確認してみてください。次に考えられるのは、エクセルのインストール状態に何らかの問題が発生している可能性です。この場合、Officeアプリケーションの「修復」機能を試してみる価値があります。Windowsの「設定」から「アプリ」を選択し、インストールされているMicrosoftOfficeの製品を探して「変更」をクリックすると、修復オプション(クイック修復やオンライン修復)が表示されます。これを実行することで、プログラムの不具合が解消され、正常にメニューが表示されるようになることがあります。また、非常に稀なケースですが、管理者によって一部の機能が制限されている可能性もゼロではありません。もし、バージョンもインストール状態も問題ないにもかかわらず表示されない場合は、組織のIT管理者に問い合わせてみるのも一つの手でしょう。


エクセルの箱ひげ図ができない時の応用とカスタマイズ

ここでは、基本的な箱ひげ図を作成できたものの、自分の意図した通りの見た目にならない、あるいはさらに詳細な分析を加えたい、といった応用的なカスタマイズについて解説していきます。エクセルの箱ひげ図は、作成したままでも十分に有用ですが、書式設定を少し変更するだけで、より多くの情報を引き出し、分かりやすいグラフに仕上げることが可能です。「エクセルの箱ひげ図ができない」という悩みは、こうしたカスタマイズの段階で発生することも少なくありません。縦横の入れ替えから、軸ラベルの変更、外れ値や平均値の表示切り替えまで、一歩進んだ使い方をマスターしていきましょう。

グラフの縦横を入れ替えるには?

横軸のラベルを任意の名前に変更する

外れ値の点を非表示にする設定方法

平均値を示すバツ印(×)の表示方法

データ内の個別の点を表示させるには

【まとめ】エクセルで箱ひげ図ができない時の解決策

グラフの縦横を入れ替えるには?

エクセルで箱ひげ図を作成すると、通常はデータ系列が横軸に、数値が縦軸に配置された縦長のグラフが作成されます。しかし、プレゼンテーションのレイアウトなどによっては、これを横長のグラフにしたい場合もあるでしょう。このような、エクセルの箱ひげ図の縦横を入れ替えたい場合、通常の棒グラフなどでよく使う「行/列の切り替え」機能が思い浮かぶかもしれません。グラフを選択した際に表示される「グラフのデザイン」タブに、このボタンは存在します。しかし、箱ひげ図の場合、この機能は期待通りに動作しないことが多いようです。箱ひげ図の縦横を制御する最も確実な方法は、元となるデータの持ち方そのものを工夫することです。基本的には、エクセルは列方向のデータを一つの箱ひげ図として認識します。そのため、縦長のグラフを作成するのが基本となります。もし横長のグラフを作成したい場合は、標準機能では直接的な手段が提供されていないのが現状のようです。代替案として、グラフ画像をコピーして、図として貼り付けた後に回転させるという手動の方法も考えられますが、これはスマートな解決策とは言えません。基本的には、箱ひげ図は縦方向でデータの分布を比較するのが一般的であると割り切り、その形式で分かりやすく見せる工夫をするのが現実的かもしれません。

横軸のラベルを任意の名前に変更する

複数のデータ群を比較する箱ひげ図を作成した際、横軸のラベルが「1」「2」「3」のような味気ない連番になってしまい、困ったことはないでしょうか。これは、excelの箱ひげ図で横軸を任意の名前にしたい、という多くの人が抱える悩みの一つです。この問題が発生する主な原因は、元データの選択範囲にあります。エクセルは、データ範囲の1行目に見出しが含まれていると、それを自動的に横軸のラベルとして使用します。したがって、横軸が連番になってしまうのは、データ選択時に見出し行を含めていなかったか、元々データに見出し行を用意していなかったかのどちらかである可能性が高いです。これを解決するには、まず元データに「クラスA」「商品B」といった、グラフに表示したい見出しを必ず追加してください。その上で、見出し行を含めてデータ範囲を再選択し、グラフを作り直すのが最も簡単な方法です。もしグラフを既に作成してしまっている場合は、「グラフのデザイン」タブにある「データの選択」をクリックします。「データソースの選択」ダイアログボックスが開くので、右側の「横(項目)軸ラベル」欄にある「編集」ボタンを押し、ラベルとして使用したいセル範囲(見出しのセル範囲)を改めて指定することで、後からでもラベルを変更することが可能です。

外れ値の点を非表示にする設定方法

箱ひげ図を作成すると、他のデータから大きく離れた値が「外れ値」として、ひげの外側に点でプロットされることがあります。この外れ値は、データの異常値を発見する上で非常に重要な情報ですが、一方で、全体のばらつきよりも中心的な傾向(箱の部分)に注目したい場合や、プレゼンテーションで見栄えをスッキリさせたい場合には、この点を非表示にしたいと考えることもあるでしょう。エクセルでは、この外れ値の表示・非表示を簡単に切り替えることができます。やり方は、まず作成したグラフの箱やひげの部分をダブルクリックするか、右クリックして「データ系列の書式設定」を選択します。すると、画面の右側に書式設定の作業ウィンドウが表示されます。その中にある「系列のオプション」の項目を見てください。「外れ値を表示する」というチェックボックスがあるはずです。このチェックを外すだけで、グラフ上から外れ値の点が消え、ひげの長さが外れ値を除いたデータ範囲での最大値・最小値を示すように自動で調整されます。エクセルで箱ひげ図の外れ値をなしにしたい場合は、この設定を覚えておくと非常に便利です。分析の目的に応じて、外れ値を表示するかどうかを柔軟に使い分けることが、効果的なデータ分析に繋がります。

平均値を示すバツ印(×)の表示方法

箱ひげ図が示す中心的な値は、あくまで「中央値(メディアン)」です。中央値は、データを順に並べた時のちょうど真ん中の値であり、外れ値の影響を受けにくいという特徴があります。一方で、私たちが日常的によく使う「平均値(アベレージ)」は、すべてのデータの値を合計してデータの個数で割ったものであり、外れ値に大きく影響されることがあります。データの分布が左右対称でない場合、中央値と平均値は異なる値を示します。この二つの値を比較することで、データの偏り具合をより深く理解することができます。エクセルでは、箱ひげ図の中に、この平均値をマーカーで追加表示する機能が備わっています。設定方法は、外れ値の時と同様です。グラフのデータ系列をダブルクリックして「データ系列の書式設定」ウィンドウを開きます。「系列のオプション」の中に、「平均マーカーを表示する」というチェックボックスがあります。ここにチェックを入れると、箱の中に平均値を示す小さなバツ印(×)が表示されます。エクセルで箱ひげ図にバツを追加したい場合は、この機能を使います。中央値を示す線と、平均値を示すバツ印の位置関係を見ることで、データがどちら側に偏っているのかを視覚的に捉えることが可能になります。

データ内の個別の点を表示させるには

箱ひげ図はデータを要約して表示するため、個々のデータ点がどこに位置しているのかは通常見えません。しかし、データの数が少ない場合や、データがどのように密集したり散らばったりしているのかをより詳細に見たい場合には、箱ひげ図と合わせて個々のデータ点もプロットしたい、というニーズが出てくることがあります。このような、エクセルで箱ひげ図に点を表示させたいという要望にも、エクセルは応えてくれます。この設定も、「データ系列の書式設定」から行います。グラフのデータ系列をダブルクリックし、書式設定ウィンドウを開いてください。「系列のオプション」項目の中に、「内部点を表示する」というチェックボックスが見つかるはずです。このチェックボックスをオンにすると、箱とひげの範囲内に含まれるすべてのデータ点が、半透明の小さな点としてグラフ上にプロットされます。これにより、データの分布密度、つまりどの値のあたりにデータが集中しているのかを、より具体的に視覚化することができます。特に、データが二つのグループに分かれている(二峰性の分布)場合などは、箱ひげ図だけでは分からない特徴を、この内部点の表示によって発見できるかもしれません。ただし、データ数が非常に多い場合にこの機能を使うと、点が密集しすぎてかえって見づらくなる可能性もあるため、状況に応じて使い分けることが肝心です。

【まとめ】エクセルで箱ひげ図ができない時の解決策

今回はエクセルで箱ひげ図ができない原因と、その作成方法やカスタマイズについてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。

・箱ひげ図はデータの分布を五つの要約統計量で示すグラフ

・エクセルで作成できるのはExcel2016以降のバージョン

・古いバージョンでは標準機能での作成はできない

・作成手順はデータ選択後「挿入」から「統計グラフ」を選ぶだけ

・複数のデータは列ごとに並べて入力すると比較グラフが作れる

・古いバージョンでの代替作成は非常に複雑で推奨されない

・バージョンが正しいのにメニューにない場合はOfficeの修復を試す

・縦横の入れ替えは標準機能では難しく、縦長での使用が基本

・横軸のラベルは元データの見出し行で決まる

・「データの選択」から横軸ラベルは後からでも変更可能

・外れ値の表示/非表示は書式設定で切り替えられる

・平均値をバツ印で追加表示することも可能

・内部点を表示させるとデータの密度がより分かりやすくなる

・箱ひげ図の各要素を理解することが効果的な活用の第一歩

・目的に応じてカスタマイズ機能を使い分けることが重要

この記事を通じて、エクセルでの箱ひげ図作成に関する疑問や問題が解決されたのではないでしょうか。バージョンという根本的な原因から、応用的なカスタマイズまで、正しい知識を持つことでデータ分析の幅は大きく広がります。ぜひ、あなたのビジネスや研究に箱ひげ図を役立ててください。

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