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エクセルでXY座標のグラフ(散布図)を作る方法は?データ点のプロット手順を解説!

実験データやアンケート結果、営業成績など、手元にある二つの数値データの関係性を分析したい、と考えたことはないでしょうか。例えば、「広告費と売上」「勉強時間とテストの点数」「気温とアイスクリームの販売数」といったデータです。これらの数値の羅列を眺めているだけでは、その間に隠された傾向や相関関係を直感的に把握するのは難しいかもしれません。そんなとき、絶大な効果を発揮するのが、エクセルで作成するXY座標のグラフ、すなわち「散布図」です。散布図を使えば、二つのデータがどのように分布しているかを視覚的に一目で捉えることができます。しかし、エクセルでグラフを作成した経験が少ない方にとっては、XY座標のグラフの作り方は少し難しく感じるかもしれません。特に、通常の棒グラフや折れ線グラフとは異なり、X軸とY軸の両方に数値を割り当てる設定に戸惑うこともあるでしょう。この記事では、エクセル初心者の方でも安心して取り組めるように、XY座標のグラフ(散布図)を作成するための基本的なデータ準備から、見やすいグラフに仕上げるための詳細なカスタマイズ手順まで、分かりやすく丁寧に解説していきます。

この記事を最後までお読みいただくことで、以下の点が明確になります。

・XY座標グラフ(散布図)の基本的な役割と、他のグラフとの違いが理解できます。

・エクセルでXY座標のデータを準備し、グラフを作成する具体的な手順がわかります。

・グラフのタイトルや軸ラベル、目盛などを調整し、見やすく整える方法が身につきます。

・近似曲線やデータラベルの追加など、より高度な分析に役立つ応用テクニックも学べます。

エクセルでXY座標のグラフを作成する基本的な手順

ここでは、エクセルでXY座標のグラフ、つまり散布図を作成するための、いわば土台となる基本的な知識と操作手順について詳しく解説していきます。初めて散布図を作成する方でも迷わないように、データの準備からグラフの挿入、そして基本的な見た目の調整までを一つずつステップバイステップで見ていきましょう。これらの基本操作をマスターすることが、効果的なデータ分析への第一歩となります。

XY座標グラフ(散布図)とは?

グラフ化するデータの準備と選択

散布図グラフをシートに挿入する

グラフタイトルと軸ラベルを追加

X軸とY軸の範囲や目盛を調整

データ点のマーカーをカスタマイズ

XY座標グラフ(散布図)とは?

まず、エクセルでXY座標のグラフを作成する前に、そのグラフがどのようなもので、何のために使われるのかを理解しておくことが重要です。エクセルでXY座標を持つグラフは、一般的に「散布図」と呼ばれます。散布図とは、横軸(X軸)と縦軸(Y軸)の二つの軸に対して、それぞれ異なる数値データを割り当て、二つの要素の組み合わせを座標上の点(マーカー)としてプロットしたグラフです。これにより、二つのデータ間の関係性、例えば「片方が増えるともう片方も増える」(正の相関)や、「片方が増えるともう片方は減る」(負の相関)、あるいは「特に関係性が見られない」(無相関)といった傾向を視覚的に把握することができます。一般的な折れ線グラフとの大きな違いは、X軸の扱いにあります。通常の折れ線グラフではX軸が「月」や「商品名」といった項目になることが多いのに対し、散布図ではX軸もY軸と同様に連続した数値データを扱います。この特性から、科学的な実験データや統計データの分析など、数値同士の関連性を探る場面で広く活用されています。

グラフ化するデータの準備と選択

エクセルで意図した通りのXY座標グラフを作成するためには、元となるデータを正しく準備することが最初の、そして最も重要なステップです。基本的には、横軸(X軸)として使用したいデータ群と、縦軸(Y軸)として使用したいデータ群を、それぞれ列に分けて入力します。例えば、あるクラスの生徒の「勉強時間(X軸)」と「テストの点数(Y軸)」の関係を見たい場合、A列に生徒の名前、B列に勉強時間、C列にテストの点数を入力するといった形です。このとき、X軸のデータ(B列)とY軸のデータ(C列)が、同じ行で対応するように整理しておく必要があります。データが準備できたら、次はそのデータをエクセルに「これがグラフの元データですよ」と教える作業、つまりデータ範囲の選択を行います。X軸とY軸にしたいデータの範囲を、見出しも含めてマウスでドラッグして選択します。例えば、上記の例であれば、B列とC列のデータが入力されている範囲を選択します。このとき、隣接した列にデータを用意しておくと、選択作業が非常にスムーズになります。この準備と選択が正しく行えれば、グラフ作成の半分は完了したと言っても過言ではありません。

散布図グラフをシートに挿入する

データの準備と選択が完了したら、いよいよグラフを実際にシート上に作成していきます。エクセルでのグラフ挿入は、リボンと呼ばれる画面上部のメニューから直感的に行うことが可能です。まず、前項で選択したデータ範囲が選択された状態のまま、リボンの「挿入」タブをクリックします。すると、様々なグラフの種類を示すアイコンが並んだ「グラフ」というグループが表示されます。その中から、点の散らばったようなアイコンの「散布図(X, Y) またはバブルチャートの挿入」というボタンを探してクリックしてください。クリックすると、さらにいくつかの散布図のスタイルが表示されます。ここでは、最も基本的で広く使われる、左上の「散布図」(マーカーと呼ばれる点のみでプロットされるタイプ)を選択します。これを選択した瞬間に、アクティブなシート上に、選択したデータを元にしたXY座標のグラフが自動的に作成、挿入されます。この時点ではまだ簡素な見た目ですが、X軸とY軸に正しく数値が反映され、データ点がプロットされていることが確認できるはずです。エクセルのXYグラフの作り方としては、この挿入までが最初の大きな区切りとなります。

グラフタイトルと軸ラベルを追加

自動で挿入されたばかりのグラフは、データがプロットされているだけで、そのグラフが一体何を表しているのか、第三者には伝わりにくい状態です。そこで、グラフに「名前」と「説明」を付けてあげる作業が必要になります。具体的には、「グラフタイトル」と、それぞれの軸が何を示しているかを表す「軸ラベル」を追加します。この操作は、グラフエリアの右上隅に表示される「+」の形をした「グラフ要素」ボタンから簡単に行うことができます。まず、作成されたグラフのどこかをクリックして選択状態にします。次に、表示された「+」ボタンをクリックすると、「グラフ要素」のリストが表示されます。そのリストの中から、「グラフタイトル」と「軸ラベル」の項目にチェックを入れます。チェックを入れると、グラフ上にそれぞれのテキストボックスが追加されます。あとは、追加された「グラフタイトル」や「(軸ラベル)」と書かれたテキストボックスを直接クリックし、内容を編集するだけです。例えば、グラフタイトルを「勉強時間とテストの点数の関係」に、X軸ラベルを「勉強時間(時間)」、Y軸ラベルを「テストの点数(点)」のように、具体的で分かりやすい名称に変更しましょう。これにより、グラフの意図が明確になり、ぐっと見やすい資料になります。

X軸とY軸の範囲や目盛を調整

エクセルが自動で作成したグラフの軸は、データの最小値と最大値に合わせて自動的に範囲が設定されます。しかし、場合によっては、データの分布をより強調したり、他のグラフと比較しやすくしたりするために、軸の範囲や目盛の間隔を自分で調整したいことがあります。例えば、テストの点数を表すY軸が0点から始まるのは自然ですが、最小点が70点の場合、軸の最小値を60などに設定した方が、点数のばらつきがより大きく見えて分かりやすくなる場合があります。この調整は、「軸の書式設定」から行います。調整したい軸(X軸またはY軸)の目盛の数字部分をマウスでダブルクリックします。すると、画面の右側に「軸の書式設定」という作業ウィンドウが表示されます。「軸のオプション」の中にある「境界値」の「最小値」と「最大値」のボックスに、任意の数値を入力することで、軸の表示範囲を変更できます。同様に、「単位」の「主」のボックスの数値を変更すれば、目盛の間隔を調整することが可能です。エクセルのグラフでX軸とY軸を指定し、その見せ方を細かくコントロールすることは、データを効果的に伝える上で非常に重要なスキルです。

データ点のマーカーをカスタマイズ

散布図にプロットされた一つ一つのデータ点は「マーカー」と呼ばれます。デフォルトでは青い円形のマーカーで表示されることが多いですが、このマーカーの見た目を変更することで、グラフのデザイン性を高めたり、複数のデータを区別しやすくしたりすることができます。マーカーのカスタマイズを行うには、まずグラフ上のいずれかのデータ点をクリックします。すると、全てのデータ点が選択された状態になります。その状態で右クリックし、表示されるメニューから「データ系列の書式設定」を選択します。画面右側に作業ウィンドウが表示されたら、ペンキのバケツのようなアイコンの「塗りつぶしと線」をクリックし、その中の「マーカー」の項目を選択します。「マーカーのオプション」を開くと、「組み込み」の中からマーカーの種類(円、四角、三角など)やサイズを変更することができます。さらに、「塗りつぶし」の項目でマーカーの色を、「線」の項目でマーカーの枠線の色や太さを変更することも可能です。例えば、重要なデータ点を赤色で大きく表示したり、データ系列ごとにマーカーの形を変えたりすることで、情報の重要度やカテゴリーの違いを視覚的に表現することができます。

【応用編】エクセルのXY座標グラフをさらに活用するテクニック

ここからは、基本的な散布図の作成方法を踏まえた上で、より高度な分析や、見栄えの良いグラフ作成に役立つ応用的なテクニックを解説していきます。データ点を線で結んだり、データの傾向を示す近似曲線を追加したり、複数のデータを一つのグラフにまとめたりする方法を知ることで、エクセルでのデータ分析の幅が格段に広がります。エクセルのXY座標のグラフを、単なる点の集合から、意味のある情報を引き出すためのツールへと進化させていきましょう。

データ点を線で結ぶ(折れ線散布図)

グラフに近似曲線と数式を追加

複数のデータ系列を一つのグラフに

データラベルで各点の座標を表示

関数を使って座標データを作成する

まとめ:エクセルでのXY座標グラフ作成とプロット手順

データ点を線で結ぶ(折れ線散布図)

通常の散布図はデータの相関関係や分布を見るのに適していますが、場合によっては、データ点がどのような順序で推移しているのかを追いたいケースもあります。例えば、時間の経過に伴う位置の変化や、実験条件を順に変えたときの結果などです。このような場合には、データ点を線で結んだ散布図、いわゆる「エクセルのXYグラフで折れ線」のような表示が有効です。この操作は、グラフの種類の変更から簡単に行うことができます。まず、作成した散布図を選択します。次に、リボンの「グラフのデザイン」タブをクリックし、「種類の変更」を選択します。「グラフの種類の変更」ダイアログボックスが表示されたら、左のリストから「散布図」が選ばれていることを確認し、右側に表示されるスタイルの中から、「散布図(平滑線とマーカー)」や「散布図(直線とマーカー)」などを選択します。「平滑線」は点を滑らかな曲線で結び、「直線」は点をまっすぐな線で結びます。どちらを選ぶかは、データの性質によって判断すると良いでしょう。これを選択して「OK」をクリックするだけで、既存のグラフが線を伴ったスタイルに変化します。これにより、個々のデータ点の位置関係だけでなく、全体の流れや順序性も同時に示すことが可能になります。

グラフに近似曲線と数式を追加

散布図の最も強力な機能の一つが、「近似曲線」の追加です。近似曲線とは、散らばっているデータ点全体の傾向を、最もよく表す一本の線(または曲線)のことです。これを利用することで、データの背後にある数式的な関係性を推測することができます。近似曲線を追加するには、まずグラフを選択し、右上の「+」(グラフ要素)ボタンをクリックします。リストの中から「近似曲線」にチェックを入れるだけで、最も当てはまりの良い線(通常は線形近似)が自動的に追加されます。さらに詳細な設定をしたい場合は、「近似曲線」の右側にある矢印をクリックし、「その他のオプション」を選択します。右側に表示される「近似曲線の書式設定」ウィンドウで、近似の種類(「線形近似」「対数近似」「多項式近似」など)を選択できます。そして、特に重要なのが、ウィンドウの下部にある「グラフに数式を表示する」と「グラフにR-2乗値を表示する」というチェックボックスです。前者にチェックを入れると、近似曲線の数式(例:y = 2.1x + 3.5)がグラフ上に表示されます。後者にチェックを入れると、「決定係数(R²)」と呼ばれる、データの当てはまりの良さを示す指標(0から1の値をとり、1に近いほど当てはまりが良い)が表示されます。これらは、データ分析の信頼性を客観的に示す上で非常に有効な情報となります。

複数のデータ系列を一つのグラフに

一つのグラフ上に、複数の異なるデータセットをプロットして比較したい、という場面もよくあります。例えば、実験グループAと実験グループBの結果を、同じXY座標のグラフ上に表示して比較検討するようなケースです。エクセルでは、既存のグラフに新しいデータ系列を簡単に追加することができます。まず、グラフを選択した状態で、リボンの「グラフのデザイン」タブをクリックし、「データの選択」を選択します。「データソースの選択」ダイアログボックスが表示されたら、左側の「凡例項目(系列)」の欄の下にある「追加」ボタンをクリックします。「系列の編集」という新しいウィンドウが開くので、ここで追加したいデータ系列の情報を設定します。「系列名」には、そのデータ系列の名前(例:グループB)が入力されているセルを指定します。「系列Xの値」のボックスには、追加したいデータのX軸の値が入力されている範囲を、「系列Yの値」のボックスには、Y軸の値が入力されている範囲をそれぞれ指定します。範囲の指定は、ボックスの右側にある上向き矢印のアイコンをクリックし、シート上の該当範囲をマウスでドラッグすると簡単です。全ての指定が終わったら「OK」をクリックしてウィンドウを閉じると、グラフ上に新しいデータ系列が、異なる色や形のマーカーで追加されます。凡例も自動で更新され、どのマーカーがどの系列を示しているのかが一目でわかるようになります。

データラベルで各点の座標を表示

グラフ上の特定のデータ点が、具体的にどのようなX座標とY座標の値を持っているのかを知りたい場合があります。もちろん、元のデータ表を見れば確認できますが、グラフ上で直接確認できると、プレゼンテーションや分析の際に非常に便利です。このような場合に役立つのが「データラベル」機能です。データラベルを追加するには、グラフを選択し、右上の「+」(グラフ要素)ボタンから「データラベル」にチェックを入れます。デフォルトでは、各データ点のY座標の値がラベルとして表示されることが多いです。しかし、XY座標のグラフでは、X座標の値も同時に表示したいケースがほとんどでしょう。ラベルの内容をカスタマイズするには、「データラベル」の右側の矢印をクリックし、「その他のオプション」を選択します。右側に表示される「データラベルの書式設定」ウィンドウの「ラベルオプション」で、「ラベルの内容」という項目に注目してください。ここで、「X値」と「Y値」の両方にチェックを入れ、「Y値」のチェックを外すなどの操作が可能です。また、「区切り文字」でX値とY値をどのように区切るか(「, (コンマ)」「; (セミコロン)」「(改行)」など)を選択できます。これにより、例えば「(10, 85)」のように、各点の座標を直接グラフ上で読み取ることが可能になります。エクセルのグラフで座標を読み取りたいというニーズには、このデータラベル機能が最も効果的な方法の一つです。

関数を使って座標データを作成する

エクセルでは、手入力のデータだけでなく、関数を用いて数学的な座標データを生成し、それをグラフ化することも可能です。これは、特定の数式のグラフを描画したい場合や、シミュレーション用のデータを作成したい場合に非常に便利です。例えば、三角関数の一つであるSIN(サイン)関数のグラフ(正弦波)を描いてみましょう。まず、A列に角度のデータを用意します。A2セルに「0」と入力し、A3セルに「=A2+10」という式を入れ、オートフィルで下にドラッグすれば、10度刻みの角度データが簡単に作成できます。次に、B列にSINの値を計算します。ただし、エクセルのSIN関数は引数にラジアン単位の角度を取るため、度をラジアンに変換するRADIANS関数を併用します。B2セルに「=SIN(RADIANS(A2))」と入力し、これもオートフィルで下にコピーします。これで、X軸が角度、Y軸がSINの値となる座標データが完成しました。あとは、このA列とB列のデータを選択し、これまでと同様の手順で散布図(平滑線タイプがおすすめ)を作成すれば、美しい正弦波のグラフが描画されます。このように、エクセルのXYグラフと関数を組み合わせることで、手作業では難しい複雑な図形の描画や、様々な数学的モデルの可視化が可能になります。エクセルの座標関数という特定の機能があるわけではありませんが、既存の数学関数を応用することで、座標作図の可能性が大きく広がります。

まとめ:エクセルでのXY座標グラフ作成とプロット手順

今回はエクセルを使ってXY座標のグラフ、すなわち散布図を作成し、それを効果的に活用するための手順とテクニックについてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。

・XY座標グラフ(散布図)は、2つの数値データの関係性を視覚化するのに適したグラフ

・通常の折れ線グラフと違い、X軸もY軸も数値データを扱う

・グラフ作成の第一歩は、X軸とY軸に対応するデータを隣接した列に準備すること

・「挿入」タブから「散布図」を選択するだけで基本的なグラフは作成可能

・グラフタイトルと軸ラベルは、グラフの意図を伝えるために必須の要素

・軸の書式設定から、表示範囲(最小値・最大値)や目盛間隔を自由に調整できる

・マーカーの形や色、サイズを変更すると、グラフのデザイン性が向上する

・データ点を線で結ぶ「折れ線散布図」は、データの推移を見たいときに有効

・近似曲線を追加すると、データ全体の傾向を一本の線で表現できる

・近似曲線の数式やR-2乗値を表示すると、より客観的な分析が可能になる

・「データの選択」から、複数のデータ系列を一つのグラフに重ねて表示できる

・データラベル機能で、各データ点のXY座標の値をグラフ上に直接表示できる

・エクセルの数学関数(SIN、COSなど)を使えば、数式のグラフも描画可能

・散布図は、データに隠された相関関係や傾向を発見するための強力なツール

・この記事で紹介した手順を踏めば、誰でも分かりやすいXY座標グラフが作成できる

数値データとにらめっこするだけでは見えてこない、新たな発見や洞察を与えてくれるのがXY座標グラフの魅力です。ぜひ、この記事を参考に、お手元のデータを様々な角度から可視化し、分析する楽しさを実感してみてください。エクセルを使いこなすことで、あなたのデータ分析はより深く、説得力のあるものになるでしょう。

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