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エクセルの共有(レガシ)って何?古い共有機能の使い方を解説!

近年、ExcelなどのOfficeソフトでは、クラウドを通じた共同編集が主流になりつつあります。しかし、社内のセキュリティ規定やネット環境の事情により、従来のファイルサーバー上でExcelファイルを複数人で同時に扱いたいという場面も少なくありません。そんな時に必要になるのが、いわゆる「ブックの共有(レガシ)」と呼ばれる機能です。最新のExcelでは標準のタブから姿を消しているため、「機能がなくなった」と勘違いされることもありますが、実は設定の中に隠されているだけなのです。

この記事では、この「ブックの共有(レガシ)」機能を再表示させる方法から、具体的な設定手順、そしてよくあるトラブルである「ボタンがグレーアウトして押せない」といった現象への対処法までを詳しく解説していきます。これを読めば、クラウド環境がない場所でもスムーズに複数人での作業が可能になるはずです。Excelのバージョンが変わって操作に迷っている方も、ぜひ参考にしてみてください。

・最新のExcelで消えた共有ボタンを復活させる手順が理解できる

・共有機能がグレーアウトして使えない原因と解決策がわかる

・従来の共有機能と新しい共同編集機能の違いを整理できる

・共有設定解除の方法やトラブル時の対応策を学べる

エクセルの共有をレガシ機能で設定する方法とは

ここではエクセルの共有をレガシ機能で設定する方法について説明していきます。最近のバージョンでは初期状態で見当たらないこの機能を、どのように探し出し、どのように設定すればよいのか。基本の「き」から、つまずきやすいポイントまでを順に見ていきましょう。

・ブックの共有とレガシの違いについて

・ブックの共有のレガシ機能をどこから探すか

・ブックの共有へレガシを追加する手順

・Excelでブックの共有を設定する流れ

・共有設定時の詳細オプションの活用法

・共有できないやグレーアウトの対処法

ブックの共有とレガシの違いについて

Excelを利用していて「ブックの共有」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。しかし、近年のExcelではこの用語が少し複雑になっています。現在、Microsoftが推奨しているのはOneDriveやSharePointを利用した「共同編集」という機能です。これはインターネットを介してリアルタイムにお互いのカーソル位置が見えるような編集スタイルを指します。

一方で、今回解説する「ブックの共有(レガシ)」は、古くからある機能です。これはローカルネットワーク上の共有フォルダなどにExcelファイルを置き、それを複数人で開いて編集するための仕組みです。Microsoft側ではこの古い機能を「レガシ」と呼んで区別しており、新しい共同編集機能とは明確に異なるものとして扱っています。

もしもあなたが、インターネットに接続しない社内LANの中だけでファイルを共有したいのであれば、新しい共同編集ではなく、このレガシ機能を使う必要があります。しかし、通常のリボンメニューからは削除されていることが多いため、まずはこの「レガシ」という言葉が、古いタイプの共有方式を指していることを理解しておくことが大切です。機能がないわけではなく、あくまで「以前の方式」として残されているのです。

ブックの共有のレガシ機能をどこから探すか

「Excelのブックの共有(レガシ)がない」と困っている方の多くは、単にボタンの場所が見つけられないケースがほとんどです。以前のバージョンであれば「校閲」タブの中に分かりやすく配置されていましたが、Microsoft365やExcel2016以降の新しいバージョンでは、初期設定のままでは表示されなくなっています。

この機能を探す場所は、通常のリボンメニューの中ではありません。「Excelのオプション」という深い階層の設定画面の中に格納されています。具体的には、ファイルタブからオプションを開き、コマンドの選択画面へと進む必要があります。一見すると機能が削除されたように見えますが、バックグラウンドにはしっかりと実装されており、ユーザーが手動で呼び出さない限り表に出てこない仕様に変更されているのです。

これは、Microsoftが新しいクラウドベースの共同編集を標準として普及させたい意図があると考えられます。そのため、あえて古い機能を目立たない場所に移動させたのでしょう。しかし、実務上ではまだまだ現役で活躍する機能ですから、どこにあるのかを知っておくだけで、いざという時に慌てずに済みます。次は実際にこの機能をリボンやツールバーに追加する手順を見ていきます。

ブックの共有へレガシを追加する手順

それでは実際に、ブックの共有(レガシ)を追加する手順をご説明します。もっとも手軽でアクセスしやすいのは「クイックアクセスツールバー」に追加する方法です。クイックアクセスツールバーとは、画面の左上(タイトルバーのあたり)に常時表示されている小さなアイコン群のことです。ここによく使う登録しておけば、タブを切り替えることなくワンクリックで機能を呼び出せます。

手順としては、まず「ファイル」タブをクリックし、一番下にある「オプション」を選択します。開いたウィンドウの左側メニューから「クイックアクセスツールバー」を選んでください。次に、「コマンドの選択」というプルダウンメニューがあるはずですので、そこを「すべてのコマンド」に変更します。ここが重要なポイントです。「基本的なコマンド」のままではレガシ機能は表示されません。

膨大なコマンドリストが表示されたら、スクロールして「ブックの共有(レガシ)」を探します。見つけたら「追加」ボタンを押して右側の枠に移動させ、「OK」をクリックして完了です。これで画面左上に新しいアイコンが追加されたはずです。同様の手順で「リボンのユーザー設定」から、既存のタブの中に専用のグループを作って配置することも可能です。ご自身の使いやすい場所に配置してみてください。

Excelでブックの共有を設定する流れ

ボタンの配置が完了したら、次は実際にExcelでブックの共有を設定する設定作業に移ります。先ほど追加した「ブックの共有(レガシ)」ボタンをクリックすると、小さなダイアログボックスが表示されます。この画面こそが、長年Excelユーザーに親しまれてきた共有設定の入り口です。

ダイアログボックスには「編集」タブと「詳細設定」タブがあります。まずは「編集」タブにあるチェックボックスに注目してください。「複数のユーザーによる同時編集と、ブックの結合を許可する」という項目があるはずです。このチェックボックスにチェックを入れることが、共有設定のスタートラインとなります。これをオンにすることで、そのファイルは排他モード(一人しか開けない状態)から共有モードへと切り替わります。

チェックを入れて「OK」を押すと、基本的にはファイルの保存を求められます。一度保存を行うと、タイトルバーのファイル名の横に「[共有]」といった文字が表示されるようになります(バージョンによって表記は異なります)。これで設定は完了です。サーバー上にこのファイルを保存すれば、他のユーザーがファイルを開いた時に「読み取り専用」にならず、同時に編集が可能になります。非常にシンプルな操作ですが、このチェックひとつでファイルの挙動が大きく変わることを覚えておきましょう。

共有設定時の詳細オプションの活用法

共有設定を行う際、単に有効化するだけでなく、詳細設定タブの内容も確認しておくと運用がスムーズになります。先ほどのダイアログボックスの「詳細設定」タブを開くと、変更履歴の保持期間や更新のタイミングなどを細かく調整できる項目が並んでいます。

例えば「変更履歴」の項目では、過去の変更内容を何日間保持するかを設定できます。デフォルトでは30日になっていることが多いですが、プロジェクトの期間に合わせて変更することが可能です。また、「変更の更新」という項目も重要です。これは、他人が行った変更を自分の画面にいつ反映させるかを決めるものです。「ファイル保存時」にするのが一般的ですが、一定時間ごとに自動更新させる設定も可能です。

さらに、「ユーザー間で競合が発生した場合」のルールもここで決められます。「変更を保存するときに確認する」にしておけば、同じセルを別々の人が編集してしまった際に、どちらの変更を優先するかをダイアログで選べるようになります。逆に「常に自分の変更を優先する」にしてしまうと、知らぬ間に相手の入力を上書きしてしまうリスクがあるため注意が必要です。チームの運用ルールに合わせて、最適な設定を選んでみてください。

共有できないやグレーアウトの対処法

いざ共有ボタンを押そうとしたら、ボタンがグレーアウトしていて押せない、あるいはチェックボックスが操作できないというトラブルに遭遇することがあります。excelのブックの共有ができないグレーアウト状態には、明確な理由が存在します。最も多い原因は、ブックの中に「テーブル(ListObject)」が含まれていることです。

Excelの便利な機能である「テーブル」ですが、実はレガシ共有機能とは互換性がありません。シートの中に一つでもテーブル設定された範囲があると、レガシ共有機能は強制的に無効化されてしまいます。この場合、テーブルツールから「範囲に変換」を選んで、通常のセル範囲に戻す必要があります。見た目の書式は残りますが、テーブルとしての機能は失われます。

その他にも、XMLマップが含まれている場合や、特定の保護機能が働いている場合にも共有機能は制限されます。また、ファイル形式が「.xls」などの極端に古い形式、あるいはマクロ有効ブック(.xlsm)の設定状況によっても挙動が変わることがあります。もしボタンが押せない場合は、まずシート内にテーブルが存在しないかを確認し、通常の範囲に戻してから再度試してみてください。これが解決への近道となることが多いでしょう。

エクセルで共有のレガシ機能を使う際の注意点

便利な共有機能ですが、古い仕組みであるがゆえの弱点やトラブルも存在します。ここでは、運用中に起こりうる問題や、将来的なリスクについて解説していきます。快適に使い続けるためには、メリットだけでなくデメリットもしっかり把握しておくことが大切です。

・共有の解除できない時の確認ポイント

・変更履歴の保持とファイルサイズの壁

・共同編集機能との使い分けを考える

・ブックの共有のレガシでの違いを理解

・エラー発生時の基本的な対応策とは

・今後のレガシ機能の取り扱いについて

共有の解除できない時の確認ポイント

共有状態で作業を終え、通常のファイルに戻そうとした時に「共有が解除できない」という事態に陥ることがあります。エクセルの共有を解除できない主な原因の一つに、他のユーザーがまだファイルを開いている状態であることが挙げられます。共有を解除するということは、排他モードに戻すことと同義ですので、自分以外の誰かが接続していると解除処理が完了しないことがあるのです。

まず、共有設定画面の「編集」タブを見て、現在ファイルを開いているユーザーの一覧を確認してください。もし自分以外の名前がある場合は、その人に連絡してファイルを閉じてもらう必要があります。もし相手がすでに帰宅しているなどで連絡がつかない場合、あるいはパソコンがフリーズして接続情報だけが残っている場合は、この一覧から強制的に「削除」ボタンで接続を切ることも可能です。ただし、相手が作業中だった内容は失われる可能性があるため、最終手段として考えましょう。

また、ファイル自体が「読み取り専用」属性になっていないか、保存先のフォルダに対するアクセス権限が変更されていないかも確認が必要です。Windowsやサーバー側の設定で書き込み権限がなくなっていると、Excel側でいくら設定を変更しようとしても保存ができず、結果として共有解除も完了しないというケースがあります。

変更履歴の保持とファイルサイズの壁

レガシ共有機能を使う上で、最も気をつけたいのがファイルサイズの肥大化です。この機能は「変更履歴」をファイル内部に保持する仕組みになっています。誰がいつ、どのセルをどう書き換えたかという情報をすべて記録しているため、長期間共有モードのまま使い続けると、目に見えないデータが蓄積され、ファイルサイズが驚くほど大きくなってしまうことがあります。

ファイルサイズが大きくなると、開くのに時間がかかったり、保存時にフリーズしたりといった動作の不安定さを招きます。最悪の場合、ファイルそのものが破損して開けなくなる「ファイル壊れ」のリスクも高まります。これを防ぐためには、定期的に共有を解除して変更履歴をクリアにするメンテナンスが必要です。

共有を解除すると、それまでの変更履歴はすべて消去されます。そのため、履歴を残しておきたい場合は、共有解除前に別途履歴シートをコピーして保存しておくなどの対策が必要です。業務の区切りや、ファイル動作が重いと感じたタイミングで「一度共有を切り、上書き保存してサイズをリセットする」という運用を習慣づけることをおすすめします。この一手間が、大切なデータを守ることに繋がります。

共同編集機能との使い分けを考える

冒頭でも触れましたが、現在のExcelには「レガシ共有」と「共同編集(モダン)」の二つの共有手段が存在します。これらをどう使い分けるべきか、悩む方も多いでしょう。判断の基準は非常にシンプルです。「ファイルをどこに保存するか」で決まります。もし、社内のNASやファイルサーバー、あるいは自分のPC内など、ローカルな環境にファイルを置くのであれば、選択肢は「レガシ共有」一択となります。

一方で、ファイルをOneDriveやSharePoint Online、TeamsといったMicrosoftのクラウドサービス上に保存できる環境であれば、新しい「共同編集」機能を使う方が圧倒的に有利です。新しい共同編集機能は、レガシ機能のような制限(テーブルが使えない、図形の操作が制限されるなど)がほとんどなく、動作も安定しています。また、変更が数秒単位で相手に伝わるため、コミュニケーションロスも少なくなります。

つまり、セキュリティポリシーでクラウド利用が禁止されている、あるいはネット環境が不安定な現場であればレガシ機能を使い、そうでなければ新しい共同編集へ移行するのが賢明です。レガシ機能はあくまで「クラウドが使えない環境のための救済措置」と捉え、可能であれば新しい環境への移行を検討していくのが、長期的な業務効率化への近道と言えるでしょう。

ブックの共有のレガシでの違いを理解

「ブックの共有(レガシ)」を使う場合、通常のExcel操作とは異なる「できないこと」がいくつか発生します。ブックの共有とレガシの違いとして特に有名なのが、「セルの結合ができない」や「条件付き書式の追加・変更ができない」といった制限です。すでに設定されている結合や書式は維持されますが、共有モード中に新しく設定しようとすると機能がグレーアウトしてしまいます。

また、グラフや図形の挿入、ハイパーリンクの挿入なども制限を受けることがあります。マクロ(VBA)に関しても、コードの記述や変更はできません。実行すること自体は可能ですが、マクロの内容によっては共有モード特有のエラーを引き起こすこともあります。このように、普段何気なく行っている操作ができなくなるのがレガシ共有の大きな特徴であり、注意点です。

そのため、共有ファイルを作成する際は、まず「共有する前」にフォーマットを完璧に作り込んでおく必要があります。セルの結合や数式、条件付き書式などはすべて事前に設定し、あとは「データを入力するだけ」の状態にしてから共有を開始するのが鉄則です。運用中にレイアウト変更が必要になった場合は、全員に作業を中断してもらい、一度共有を解除してから修正を行うという手順を踏む必要があります。

エラー発生時の基本的な対応策とは

レガシ共有機能を使っていると、「ファイルはロックされています」や「保存しようとしたデータに変更があります」といったエラーメッセージに遭遇することがあります。これらは、複数のユーザーが同じタイミングで保存を行おうとした際に発生しやすいものです。特に、ネットワーク回線が混雑している時や、ファイルサイズが大きい時に頻発する傾向があります。

基本的な対応策としては、まず「時間を置いて再試行する」ことです。数分待ってから保存ボタンを押すだけで解決することも多々あります。それでも解決しない場合は、一旦そのファイルを別名で保存(ローカルのデスクトップなど)して、自分の入力データを退避させてください。その後、サーバー上のファイルを誰が開いているかを確認し、全員に閉じてもらった上で、退避させたデータから必要な部分を転記するといった対応が必要になります。

また、あまりにもエラーが頻発する場合は、ファイル自体が破損しかけている可能性も否定できません。その場合は、新規ブックを作成し、そこに値のみを貼り付けて新しくファイルを作り直す「リフレッシュ」作業を行うと、動作が安定することがあります。共有ファイルは壊れやすいものであるという認識を持ち、こまめなバックアップを取る運用ルールを定めておくことが、最大のリスクヘッジとなります。

今後のレガシ機能の取り扱いについて

最後に、この「レガシ」機能が今後どうなっていくのかについて触れておきましょう。Microsoftは公式に、レガシ共有機能よりも共同編集(Co-authoring)を推奨しています。名称に「レガシ(遺産・過去のもの)」とついていることからも分かる通り、将来的にはサポートが縮小されたり、機能そのものが廃止されたりする可能性もゼロではありません。

現時点では、互換性を維持するために機能が残されていますが、新機能の開発やバグ修正の優先度は低いと考えられます。つまり、レガシ機能特有の不具合が見つかったとしても、それが迅速に修正されるとは限らないのです。企業などの組織で長期的なシステム運用を考える場合、この「いつか使えなくなるかもしれない機能」に依存し続けることはリスクとなり得ます。

もちろん、今すぐ使えなくなるわけではありませんし、現状のインフラ環境ではこれしか選択肢がない場合もあるでしょう。しかし、数年単位の計画の中では、クラウドストレージの導入や、Excel以外のデータベースソフトへの移行など、脱レガシ共有の道筋を少しずつ検討しておくことをおすすめします。変化に対応できるよう準備をしておくことが、業務を止めないための賢い選択と言えるでしょう。

エクセルの共有とレガシ機能のまとめ

今回はエクセルの共有のレガシ機能についてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。

・レガシ機能はクラウドを使わない古い共有方式である

・最新版Excelではオプションから手動で追加が必要である

・クイックアクセスツールバーへの追加が便利である

・設定はチェックボックスをオンにするだけで完了する

・詳細設定で変更履歴や更新タイミングを調整できる

・テーブル機能が含まれると共有ボタンは押せなくなる

・共有モード中はセルの結合や書式設定が制限される

・共有解除できない時は接続ユーザーの確認が必要である

・ファイルサイズ肥大化を防ぐため定期的な解除が重要である

・データ破損リスクがあるためバックアップは必須である

・クラウド環境があるなら新しい共同編集機能が推奨される

・エラー時は別名保存でデータを退避させるのが安全である

・事前にフォーマットを完成させてから共有を開始する

・将来的に機能が縮小される可能性がある点に注意する

・社内環境に合わせて最適な共有方法を選択すべきである

エクセルの共有(レガシ)は、設定場所さえ分かれば、特別な機器を導入することなくすぐに始められる便利な機能です。

その特性や制限、リスクを正しく理解して運用すれば、チームの業務効率を大きく向上させることができるでしょう。

この記事が、あなたの職場でのスムーズなデータ共有の一助となれば幸いです。

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