パワーポイントで作成した美しい資料を印刷しようとしたとき、どうしても気になってしまうのが用紙の周囲にできてしまう白い余白ではないでしょうか。特にポスターやチラシのようなデザイン性の高い資料を作る場合、パワポでA4の余白なし印刷ができれば、よりプロフェッショナルで魅力的な仕上がりになるはずです。しかし、実際に設定画面を見てみても、なかなか思った通りにフチなし印刷ができないという経験をお持ちの方も多いかもしれません。実はパワーポイント自体の設定だけでなく、プリンターの機能やPDFへの変換など、いくつかの要素が組み合わさって余白が決まることが多いのです。この記事では、パワーポイントで余白をなくすための設定や、うまくいかない場合の対処法について詳しく解説していきます。
この記事を読むことで以下のメリットがあります。
・ パワーポイントで余白なし印刷をするための基本的な設定手順がわかります
・ プリンターの機能に依存するフチなし印刷の仕組みを理解できます
・ うまく余白が消えない場合のPDF活用などの代替案を知ることができます
・ デザイン段階で余白を目立たなくさせる工夫を学べます
パワポでA4の余白なし印刷をする設定方法
ここではパワポでA4の余白なし印刷をするための具体的な設定方法について説明していきます。パワーポイントの操作画面だけでなく、お使いのプリンターの設定も重要になってきます。順に見ていきましょう。
・ プリンターにフチなし印刷機能があるか
・ パワポのスライドサイズをA4に設定
・ ユーザー設定で幅と高さを微調整する
・ 印刷画面で用紙に合わせて拡大縮小
・ Windows10でのプロパティ設定手順
・ それでも余白がなくならない原因
プリンターにフチなし印刷機能があるか
まず最初に確認しておきたいのが、お使いのプリンターが物理的に「フチなし印刷」に対応しているかどうかという点です。
多くの家庭用インクジェットプリンターでは、写真印刷などを想定して「フチなし全面印刷」という機能が搭載されていることが一般的です。
一方で、オフィスでよく使われているレーザープリンターや複合機の場合、構造上の理由から用紙の端までトナーを定着させることが難しく、どうしても数ミリの余白が必要になる機種が大半を占めています。
もし会社のプリンターで「パワポのフチなし印刷がない」と悩んでいる場合は、そもそも機械の仕様として対応していない可能性が高いかもしれません。
そのため、設定をいじる前に、プリンターの型番を調べて仕様書を確認するか、印刷設定のプロパティ画面に「フチなし」のチェック項目が存在するかを見てみるのが良いでしょう。
これがなければ、どれだけソフト側で調整しても物理的な余白は消えないことになります。
パワポのスライドサイズをA4に設定
プリンターが対応していることが確認できたら、次はパワーポイント側でのスライドサイズの設定を見直してみましょう。
パワーポイントのデフォルトのスライドサイズは、実はA4用紙のサイズとは微妙に異なっていることをご存知でしょうか。
一般的に「ワイド(16:9)」や「標準(4:3)」といった比率で設定されていることが多く、そのまま印刷すると余白が大きく生じてしまう原因になります。
そこで、「デザイン」タブにある「スライドのサイズ」から「ユーザー設定のスライドのサイズ」を開き、サイズ指定を「A4」に変更することが推奨されます。
ただし、ここで単にA4を選んだだけでは、印刷可能領域を考慮して自動的に余白が確保されてしまうことがあります。
より確実に余白をなくすためには、この設定画面で数値がどのようになっているかを確認し、用紙いっぱいにレイアウトが配置されるように意識する必要があります。
まずは基本として、このスライドサイズの設定が正しく行われているかを確認することが第一歩と言えるでしょう。
ユーザー設定で幅と高さを微調整する
スライドのサイズをA4に設定したとしても、厳密にはA4用紙の規格サイズである「210mm×297mm」とは異なる数値が入力されている場合があります。
これはパワーポイントが印刷時の余白を考慮して、あらかじめ少し小さめのサイズを適用しようとするためです。
もし徹底的にパワーポイントの余白設定にこだわるのであれば、「ユーザー設定のスライドのサイズ」で、幅と高さを手動で入力し直すのも一つの方法です。
A4横向きであれば「幅29.7cm、高さ21.0cm」、縦向きであればその逆の数値を直接入力してみましょう。
こうすることで、スライドのデータ自体はA4用紙と全く同じ大きさになります。
しかし、これを設定してもプリンター側の余白設定が優先されることが多いため、必ずしもこれで解決するわけではありません。
ただ、データ上のサイズを用紙サイズと合致させておくことは、印刷時のズレを防ぐためにも有効な手段と考えられます。
試してみる価値はあるでしょう。
印刷画面で用紙に合わせて拡大縮小
スライドのサイズ設定ができたら、いよいよ印刷の実行画面での設定になります。
ここでは「フルページサイズのスライド」を選択した上で、「用紙に合わせて拡大/縮小」という項目にチェックを入れることが非常に重要です。
このチェックが入っていないと、スライドサイズと用紙サイズの微妙なズレがそのまま反映され、意図しない余白が上下左右にできてしまうことがあります。
この機能を有効にすることで、パワーポイントは指定された用紙サイズ(この場合はA4)のギリギリまでスライドを引き伸ばして印刷しようと試みます。
多くの場合はこの設定を行うことで、余白を最小限に抑えることができるはずです。
ただし、これを行ってもプリンター自体の「印刷不可能領域(ハードウェア的な余白)」までは塗りつぶせません。
あくまで「印刷可能な範囲いっぱいに広げる」という機能であると理解しておくと良いでしょう。
簡単な設定ですが、意外と見落としがちなポイントです。
Windows10でのプロパティ設定手順
Windows10の環境でパワーポイントの印刷余白なしの設定を行う場合、プリンターのプロパティ画面へのアクセスが必要になります。
印刷プレビュー画面にある「プリンターのプロパティ」というリンクをクリックすると、お使いのプリンタードライバー固有の設定画面が開きます。
ここでメーカーごとに名称は異なりますが、「フチなし印刷」「全面印刷」「余白なし」といった項目を探してチェックを入れる必要があります。
また、用紙の種類を「普通紙」にしているとフチなし設定が選べない機種もあるため、「写真用紙」や「専用紙」などを選択する必要があるかもしれません。
さらに、「はみ出し量」という設定項目がある場合は、これを調整することで画像の端が切れるのを防いだり、逆に白地が出ないように画像を少し拡大したりすることができます。
Windows10自体の設定というよりは、インストールされているプリンタードライバーの機能に依存する部分が大きいですが、ここを正しく設定しないとパワーポイント側だけでは完結しないのです。
それでも余白がなくならない原因
これまでの設定をすべて試しても、どうしてもパワポで余白なしができないというケースもあるでしょう。
その最大の原因は、やはり前述した通り「プリンターのハードウェア的な限界」である可能性が高いです。
特にレーザープリンターは、紙を送るためのローラーが接触する部分や、トナーを定着させるプロセスの都合上、用紙の端数ミリには印刷できない仕様になっていることがほとんどです。
この場合、どれだけソフト側で「余白なし」を指示しても、プリンター側が物理的にインクを乗せられないため、白いフチが残ってしまいます。
また、パワーポイントのスライド比率と用紙の比率が完全に一致していない場合も、上下または左右に余白ができます。
例えば、スライドが16:9のワイド比率のままA4用紙(約1.41:1)に印刷しようとすれば、必ず大きな余白が生まれます。
まずはハードウェアの制約なのか、データ作成上の比率の問題なのかを切り分けて考えることが大切です。
無理に設定で解決しようとせず、現状を受け入れた上で対処を考えるのも一つの手です。
パワポのA4余白なしができない時の対処法
設定を見直しても改善されない場合や、そもそもプリンターが対応していない場合でも、諦める必要はありません。いくつかの工夫や代替手段を使うことで、余白を目立たなくしたり、目的を達成したりすることは可能です。ここでは応用的な対処法について説明していきます。順に見ていきましょう。
・ PDFに変換してから余白なし印刷
・ 背景デザインで上下余白をなくす
・ 2スライドを用紙いっぱいに配置
・ コンビニ印刷での余白の扱いを知る
・ 確実にフチなしにするなら業者へ
・ パワポでA4の余白なしについてのまとめ
PDFに変換してから余白なし印刷
パワーポイントから直接印刷してうまくいかない場合、一度PDFファイルに変換してから印刷するという方法が非常に有効です。
「名前を付けて保存」からファイルの種類をPDFに指定して保存します。
そして、Adobe Acrobat ReaderなどのPDF閲覧ソフトでそのファイルを開き、そこから印刷を試みてください。
PDFソフトの印刷ダイアログには、「ページサイズに合わせて調整」や「特大ページを縮小」といったスケーリングのオプションが豊富に用意されていることが多いです。
また、プリンターのプロパティへのアクセスもスムーズで、パワポのPDF余白なし印刷の方が、ソフト間の干渉が少なく設定が反映されやすいという声もよく聞かれます。
データのレイアウト崩れを防ぐ意味でも、最終的な印刷データはPDFにしておくのが無難と言えるでしょう。
もしパワーポイント上でどうしても設定がうまくいかないと感じたら、迷わずPDF化を試してみることをおすすめします。
これにより、意外とあっさり解決することも少なくありません。
背景デザインで上下余白をなくす
物理的な余白が消せない場合、視覚的なトリックを使ってパワーポイントの上下余白をなくす、あるいは目立たなくするという発想の転換も有効です。
例えば、スライドの背景を白に設定しておけば、用紙の白い余白と一体化して、フチがあることがわからなくなります。
逆に、濃い色の背景を全面に敷いてしまうと、数ミリの白いフチが非常に目立ってしまい、素人っぽい印象を与えかねません。
もしフチなし印刷ができないプリンターを使うことが確定しているなら、最初から「周囲5ミリは印刷されない」という前提でデザインを組むのが賢明です。
文字やロゴなどの重要な要素は端の方には配置せず、十分に内側に収めるようにしましょう。
こうすることで、印刷後に余白ができたとしても、デザインの一部として自然に見せることができます。
「パワーポイントの余白をなくす」ことに固執するのではなく、「余白があっても美しく見えるデザイン」を目指すのも、プロのWEBライターとしての視点からは重要などと言えるかもしれません。
2スライドを用紙いっぱいに配置
資料配布用などで、パワーポイントを用紙いっぱいに印刷して2スライド並べたいというニーズもあるでしょう。
通常、印刷設定で「2スライド」を選ぶと、スライド同士の間隔や周囲の余白がかなり大きく取られてしまい、スライド自体が小さくなってしまいがちです。
これを解消するためには、パワーポイントの配布資料設定ではなく、プリンター側の「割り付け印刷(2in1)」機能を使うのがおすすめです。
パワーポイント側ではスライドを1枚ずつ普通に印刷する設定にし、プリンターのプロパティで「2ページを1枚に印刷」する設定を行います。
さらに、前述のPDF化を組み合わせることで、余白をトリミングして配置するような高度な設定ができる場合もあります。
こうすれば、用紙のスペースを最大限に活用して、2枚のスライドを大きく見やすく配置することが可能になるでしょう。
読み手にとっても、文字が大きくなることはメリットしかありません。
手間はかかりますが、仕上がりの質を高めるためには有効な手段です。
コンビニ印刷での余白の扱いを知る
自宅や会社にプリンターがない、あるいはフチなし対応機がない場合、コンビニのマルチコピー機を利用することもあるかと思います。
しかし、残念ながら現在の主要なコンビニのコピー機では、基本的にフチなし印刷はできない仕様になっていることがほとんどです。
これは紙詰まりやドラムの汚れを防ぐための安全策として、必ず周囲に数ミリの余白(印刷不可領域)が設けられているからです。
そのため、USBメモリにパワーポイントやPDFを入れて持ち込んでも、絶対に端まで印刷することはできません。
もしコンビニで印刷することを前提とするなら、前述のように「余白が出ることを前提としたデザイン」にしておくことが必須です。
あるいは、少し大きめのB4サイズなどで印刷して、後からカッターで周囲の余白を切り落としてA4サイズにするという力技もあります。
手間はかかりますが、物理的にフチなしを実現する数少ない方法の一つです。
コンビニ印刷の限界を理解しておくことで、無駄な試行錯誤を避けることができます。
確実にフチなしにするなら業者へ
ここまで様々な方法を紹介してきましたが、最も確実で美しい仕上がりを求めるのであれば、印刷通販や近隣の印刷業者に依頼するのがベストな選択肢です。
プロの印刷業者は、仕上がりサイズよりも大きな用紙に印刷してから、四方を断裁してA4サイズに仕上げます。
この工程を経ることで、用紙の端まで色が乗った、完全な「フチなし全面印刷」が実現できるのです。
パワーポイントのデータを入稿する際は、塗り足し(仕上がりサイズより外側に3mm程度画像を伸ばしておく処理)が必要になる場合が多いですが、最近ではパワポ形式そのまま入稿OKという業者も増えています。
コストや時間はかかりますが、プレゼン資料や掲示物としてのクオリティは格段に上がります。
特に重要な場面で使う資料であれば、自力で頑張るよりも、プロに任せてしまう方が結果的にコストパフォーマンスが良いこともあります。
選択肢の一つとして常に持っておくと良いでしょう。
パワポでA4の余白なしに関するまとめ
今回はパワポでA4の余白なし印刷をする方法や対処法についてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・ パワポで余白なし印刷ができるかはプリンターの機能に大きく依存する
・ オフィス向けのレーザープリンターは構造上フチなし印刷が苦手である
・ 家庭用インクジェットプリンターはフチなしに対応していることが多い
・ スライドのサイズ設定をユーザー設定でA4の数値に合わせると良い
・ 印刷画面で用紙に合わせて拡大縮小にチェックを入れるのが基本である
・ Windows10のプリンタープロパティでフチなし設定を有効にする必要がある
・ 物理的な印刷不可領域がある場合はソフト側の設定では解決できない
・ どうしても余白が消えない場合はPDFに変換してから印刷を試みるべきだ
・ 背景を白にするなど余白が目立たないデザインにすることも有効な手段である
・ 2スライド印刷時はプリンター側の割り付け機能を使うと大きく印刷できる
・ コンビニのコピー機では基本的にフチなし印刷はできない仕様である
・ 完全にフチなしにしたい場合は余白を切り落とす作業が必要になる
・ 印刷業者に依頼すれば断裁処理によって完全な全面印刷が可能である
・ データの比率と用紙の比率が合っていないと必ず余白ができてしまう
・ 状況に合わせて自宅印刷か業者依頼かを使い分けるのが賢い方法である
パワーポイントでの余白なし印刷は、一見簡単なようでいて、実はハードウェアの制約を大きく受ける奥の深い問題です。
ご自身の環境でできることとできないことを正しく理解し、最適な方法を選択することで、より見やすく美しい資料作りができるようになるでしょう。
この記事が、あなたの資料作成のクオリティアップに少しでも役立てば幸いです。
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