プレゼンテーション資料を作成する際、視覚情報だけでなく聴覚に訴える要素、すなわち「音声」を活用したいと考える場面は少なくないでしょう。MicrosoftPowerPoint、通称パワポは、多機能なプレゼンテーションソフトであり、もちろん音声ファイルの挿入にも対応しています。しかし、ただ挿入するだけではなく、より効果的に「パワポに音声の埋め込み」を行うには、いくつかの設定やテクニックを知っておくことが望ましいです。例えば、BGMとして流したい場合、ナレーションを加えたい場合、あるいは「パワーポイントでの音声録音」をスライドごとに行いたい場合など、目的によって最適な方法は異なります。
また、「パワーポイントに音声を入れて動画にする」ことで、オンデマンドの教材やWebセミナー用のコンテンツを作成することも可能です。「パワーポイントで音声読み上げ」の機能を活用する方法や、「パワポで音声の自動再生」を設定するテクニックも存在します。この記事では、PowerPointで音声を扱うための基本的な手順から、プレゼンの質を高めるための応用テクニック、さらには「パワーポイントで録音した音声が出ない」といったトラブルシューティングまで、幅広く情報を整理していきます。
この記事を読むことで、以下のようなメリットが期待できます。
・パワポへ音声を埋め込む具体的な手順を理解できる
・音声ファイル形式(MP3やMP4)の適切な扱い方を学べる
・スライドショーを効果的に演出する音声再生テクニックを知れる
・音声挿入時によくあるトラブルと、その一般的な対処法がわかる
パワポで音声の埋め込みを行う基本的な手順
ここではパワポで音声の埋め込みを行うための、基本的な操作手順や考え方について説明していきます。PowerPointには、PCにあらかじめ保存されている音声ファイルを利用する方法のほか、PowerPoint上で直接音声を録音する機能も備わっています。また、どのようなファイル形式が扱えるのか、挿入した音声アイコンをどのように編集するのかも知っておく必要があります。順に見ていきましょう。
音声ファイルをPCから挿入する方法
パワーポイントで直接音声を録音する
パワーポイントで音声の埋め込みにmp3は使えるか
パワーポイントの音声埋め込みとmp4の関係
クリップアートのオーディオを使う方法
挿入した音声アイコンの編集と書式設定
音声ファイルをPCから挿入する方法
PowerPointスライドに音声を挿入する最も基本的な方法が、お手元のPCに保存されている音声ファイル(オーディオファイル)を直接挿入する手順です。これは、事前に用意したナレーションや、プレゼンテーションの雰囲気に合わせたBGM(背景音楽)、または特定の部分で再生したい効果音などを追加する際に非常に有効な手段となります。
具体的な操作手順としては、まず音声を挿入したいスライドを開きます。次に、リボンメニューから「挿入」タブを選択し、右側にある「オーディオ」アイコンをクリックします。すると、「このPC上のオーディオ」という選択肢が表示されるはずです。これをクリックすると、ファイル選択ダイアログボックスが開くため、挿入したい音声ファイルを選び、「挿入」ボタンを押します。
この操作により、スライド上にスピーカーの形をしたアイコンが表示され、音声ファイルがスライドに埋め込まれます。PowerPointが対応しているファイル形式は多岐にわたりますが、一般的にはMP3(.mp3)やWAV(.wav)、M4A(.m4a)、AAC(.aac)、WMA(.wma)などがよく利用されます。
重要な点として、ファイルを「埋め込む」か「リンクする」かという違いがあります。「埋め込み」は、音声ファイル自体がPowerPointファイル(.pptx)の一部として保存される方法です。これにより、他のPCでプレゼン資料を開いた場合でも、音声ファイルが見つからないというトラブルを防ぐことができます。一方、「リンク」は、音声ファイルへの参照情報だけを保存するため、PowerPointファイルの容量は小さくなりますが、元の音声ファイルの場所を移動したり、削除したりすると再生できなくなるため注意が必要です。近年のPowerPointでは、多くの音声ファイルは自動的に埋め込まれる傾向にありますが、設定を確認しておくと安心でしょう。
パワーポイントで直接音声を録音する
プレゼンテーションにナレーションを追加したい場合、必ずしも別の録音ソフトを準備する必要はありません。「パワーポイントでの音声録音」機能を利用すれば、PowerPoint内で直接、音声を録音し、スライドに挿入することが可能です。これは、スライドの内容を補足説明する簡単なコメントを追加したい時などに非常に手軽な方法と言えます。
操作手順は、PCからファイルを挿入する場合と似ています。「挿入」タブから「オーディオ」をクリックし、今度は「オーディオの録音」を選択します。すると、「サウンドの録音」という小さなウィンドウが表示されるでしょう。ここで、録音するサウンドに任意の名前を付けることができます(例:「スライド1の補足」など)。
録音を開始するには、録音ボタン(通常は赤い丸のアイコン)をクリックします。録音が開始されると、経過時間が表示されます。ナレーションやコメントを話し終えたら、停止ボタン(四角いアイコン)をクリックします。録音した内容を確認したい場合は、再生ボタン(三角のアイコン)を押します。内容に問題がなければ、「OK」ボタンをクリックすると、録音された音声がスライドに挿入されます。
この方法のメリットは、ソフトウェアを切り替える手間なく、スライドを見ながら直感的に録音できる点にあります。ただし、注意点も存在します。まず、録音品質は使用するマイクの性能に大きく左右されます。PC内蔵のマイクでは、タイピング音や冷却ファンの音といった環境ノイズ(雑音)を拾いやすい可能性があります。よりクリアな音声を録音したい場合は、外部接続のUSBマイクなどを使用することが推奨されます。また、この機能は本格的な音声編集には向いていません。録音した音声の不要な部分をカットする「トリミング」機能はPowerPointにも備わっていますが、ノイズ除去や音質調整などの高度な編集は難しいでしょう。
パワーポイントで音声の埋め込みにmp3は使えるか
PowerPointで音声を扱う際、ファイル形式の選択は重要な要素の一つです。「パワーポイントで音声の埋め込みにmp3は使えるか」という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、結論から言えば、MP3(.mp3)形式はPowerPointで最も一般的に、かつ推奨される音声ファイル形式の一つです。
MP3が推奨される主な理由は、その優れた「圧縮率」と「互換性」にあります。MP3は、人間の耳には聞こえにくいとされる音域のデータをカットすることで、音声品質を大きく損なうことなく、ファイルサイズを劇的に小さくすることができます。例えば、非圧縮のWAVファイルと比較すると、同程度の再生時間でもファイルサイズが数分の一から数十分の一になることも珍しくありません。
プレゼンテーションファイルに複数の音声ファイルや高音質な音声を埋め込むと、PowerPointファイル全体の容量(メガバイト数)が非常に大きくなってしまう可能性があります。ファイルサイズが大きすぎると、メールでの送付が困難になったり、ファイルを開くのに時間がかかったりする原因にもなり得ます。MP3形式を採用することは、こうした問題を回避し、資料の取り扱いを容易にする上で非常に有効です。
また、MP3は長年にわたり音声圧縮の標準規格として広く普及しているため、WindowsやMac、さらにはスマートフォンやタブレットなど、ほとんどのデバイスやOSで標準的にサポートされています。これにより、作成したPowerPointファイルを異なる環境で再生する際の互換性問題が発生しにくいというメリットもあります。
もちろん、音質に最大限こだわりたい、例えばプロフェッショナルな音楽プレゼンテーションなどで、圧縮によるわずかな音質劣化も許容できない場合には、非圧縮のWAV形式などを選択することもあり得ます。しかし、一般的なビジネスプレゼンや講義資料におけるナレーション、BGM用途であれば、MP3形式で十分な品質と利便性を両立できる可能性が高いでしょう。
パワーポイントの音声埋め込みとmp4の関係
「パワーポイントの音声の埋め込みでmp4」ファイルはどのように扱われるのでしょうか。MP4(.mp4)は、一般的に「動画ファイル」の形式として広く認識されています。MP4はコンテナ形式と呼ばれ、映像(ビデオ)トラックと音声(オーディオ)トラック、さらには字幕などの情報を一つのファイルに格納することができます。
そのため、PowerPointの「挿入」タブからMP4ファイルを挿入しようとすると、通常は「オーディオ」ではなく「ビデオ」として扱われます。「挿入」→「ビデオ」→「このデバイス」からMP4ファイルを選択すると、スライドには動画プレイヤーが挿入されます。この場合、もちろんMP4ファイルに含まれている音声も再生されますが、それはあくまで動画の再生に伴うものです。
もし、MP4ファイルから「音声だけ」を抽出し、オーディオファイルとしてスライドに挿入したい場合は、PowerPointの標準機能だけでは完結しない可能性が高いです。その場合は、別途、動画編集ソフトやオンラインのファイル変換サービスなどを利用して、MP4ファイルから音声トラックを抽出し、MP3やWAVといった音声ファイル形式に変換する作業が必要になるでしょう。変換後の音声ファイルであれば、前述の「このPC上のオーディオ」から問題なく挿入できます。
ただし、「パワーポイントに音声を入れて動画にする」という最終目的がある場合、MP4は出力形式として非常に重要です。スライドにナレーション(MP3や録音)やBGMを適切に配置し、スライドの切り替えタイミングなどを設定した後、PowerPointの「エクスポート」機能を使うことで、プレゼンテーション全体を一つのMP4動画ファイルとして書き出すことが可能です。この文脈においてMP4は「挿入」する対象ではなく、「作成(エクスポート)」する対象として関わってくることになります。
クリップアートのオーディオを使う方法
以前のバージョンのPowerPoint、特にOffice2010以前では、「クリップアート」機能の一部として、あらかじめ用意された効果音や短いBGMなどのオーディオ素材を挿入する機能が提供されていました。ユーザーは「挿入」タブから「クリップアート」を選択し、検索ウィンドウで「オーディオ」や「サウンド」といったキーワードで検索することで、利用可能な音声素材を探し出すことができました。
しかし、Microsoft365やPowerPoint2019、2021といった近年のバージョンでは、この従来のクリップアート機能は大幅に変更、または廃止されています。その代わりとして、「挿入」タブには「アイコン」や「3Dモデル」、「ストック画像」といった、より高品質で現代的なオンラインリソースへのアクセス機能が強化されています。
音声に関しても、「挿入」→「オーディオ」の中に「オンラインオーディオ」といった選択肢が存在したバージョンもありましたが、現在のMicrosoft365では、「挿入」→「ストック画像」の中に「オーディオ」カテゴリが含まれている場合があります(提供状況はライセンスやバージョンによって異なる可能性があります)。もしこの機能が利用可能であれば、Microsoftが提供するロイヤリティフリーの音楽や効果音を検索し、直接スライドに挿入することができます。
もし、PowerPoint内に目的のオーディオ素材が見つからない場合は、外部のサービスを利用するのが現実的な選択肢となります。インターネット上には、無料で利用できる、あるいは有料で高品質なBGMや効果音を提供するWebサイト(オーディオストックサイト)が多数存在します。これらのサイトから適切な音声ファイル(MP3やWAV)をダウンロードし、前述した「このPC上のオーディオ」の方法でスライドに挿入するのが、現在の主流な方法と言えるでしょう。その際は、各サイトの利用規約(ライセンス)をよく確認し、商用利用が可能か、クレジット表記が必要かなどを必ずチェックすることが重要です。
挿入した音声アイコンの編集と書式設定
スライドに音声ファイルを挿入すると、デフォルトでスピーカーの形をしたアイコンが表示されます。このアイコンは、音声が挿入されていることを示す目印であると同時に、再生をコントロールするための起点にもなります。しかし、プレゼンテーションのデザインによっては、このアイコンが邪魔になったり、もっと目立たないようにしたい、あるいは逆にもっと分かりやすくしたい、といった要望が出てくるかもしれません。PowerPointでは、この音声アイコンに対していくつかの編集や書式設定を適用することが可能です。
最もよく使われる設定の一つが、「スライドショー中に非表示にする」機能です。ナレーションやBGMのように、スライドが表示されたら自動的に再生される(あるいはバックグラウンドで流れ続ける)音声の場合、スライド上にスピーカーアイコンが見えている必要はありません。むしろ、アイコンが見えていると視覚的なノイズになる可能性があります。この設定を行うには、音声アイコンを選択した状態でリボンに表示される「再生」タブをクリックし、「スライドショー中に非表示にする」のチェックボックスをオンにします。こうすることで、編集画面ではアイコンが見えていますが、F5キーなどでスライドショーを実行するとアイコンは表示されなくなります。
また、音声アイコン自体も「図」として扱われるため、デザインを変更することもできます。アイコンを選択した状態で「図の形式」タブ(または「オーディオの形式」タブ)を開くと、アイコンの色を変更したり、枠線を付けたり、影や光彩といった効果を適用したりできます。さらに、「図の変更」機能を使えば、スピーカーアイコンをPC上の別の画像や、PowerPointが提供するアイコン素材などに差し替えることも可能です。これにより、プレゼンテーション全体のデザインテーマに合わせたカスタムアイコンを使用することもできるでしょう。
パワポの音声埋め込みを制御する再生テクニック
音声をスライドに挿入するだけでは、プレゼンテーションの効果を最大化することは難しいかもしれません。重要なのは、その音声を「いつ」「どのように」再生するかを適切に制御することです。「パワポの音声の埋め込み」をマスターした次のステップとして、再生テクニックを学ぶことが求められます。ここでは、スライドショーの進行に合わせて音声を効果的にコントロールする方法や、関連する機能について説明していきます。順に見ていきましょう。
パワポで音声の自動再生を設定する
スライドショー実行中の音声制御
パワーポイントの音声読み上げ機能とは
パワーポイントに音声を入れて動画にする手順
パワーポイントで録音した音声が出ない時の対処法
パワポの音声埋め込み活用法の総まとめ
パワポで音声の自動再生を設定する
挿入した音声をどのタイミングで開始するかは、プレゼンテーションの流れを決定づける重要な設定です。「パワポで音声の自動再生」を設定すると、そのスライドが表示されると同時に、ユーザーが何もしなくても音声が再生されるようになります。これは、スライドのBGMとして音楽を流したい場合や、スライドの表示と同時にナレーションを開始したい場合に非常に便利な機能です。
設定方法は比較的簡単です。まず、スライド上の音声アイコンを選択します。すると、リボンメニューに「再生」タブが表示されます。このタブの中にある「オーディオオプション」グループに、「開始」というドロップダウンリストがあります。デフォルトでは「クリック時」または「シーケンスのクリック時」になっていることが多いでしょう。
「クリック時」は、スライドショー実行中にそのスピーカーアイコンをクリックした時にのみ音声が再生される設定です。「シーケンスのクリック時」は、スライド上でクリック(または矢印キーの「→」を押すなど)して、アニメーションを進める操作を行ったタイミングで再生される設定です。
ここで「自動」を選択すると、そのスライドに切り替わった瞬間に音声が再生されるようになります。
さらに、「再生」タブには「バックグラウンドで再生」という便利な設定ボタンも用意されていることがあります。このボタンを押すと、いくつかの設定が自動的に一括で適用されます。具体的には、「自動」再生、「スライドショー中に非表示」、「すべてのスライドで再生」(スライドを切り替えても音声が止まらない)、「停止するまで繰り返す」(音声が終了したら自動で最初に戻る)といった設定が同時にオンになります。これは、プレゼンテーション全体を通してBGMを流し続けたい場合に最適な設定と言えるでしょう。ただし、複数のスライドで個別に自動再生を設定すると、意図せず音声が重なってしまう可能性もあるため、どのスライドでどの音声をどのように再生するかは、事前にしっかり設計しておくことが重要です。
スライドショー実行中の音声制御
プレゼンテーションの本番中、つまりスライドショーを実行している最中に、挿入した音声を柔軟にコントロールしたい場面も出てくるかもしれません。例えば、質疑応答のために一時的にBGMを停止したい、あるいは特定のナレーションをもう一度再生したい、といったケースです。
音声アイコンを「スライドショー中に非表示にする」設定にしていない場合、スライドショーの画面上にもスピーカーアイコンが表示されています。このアイコンにマウスカーソルを合わせると、再生/一時停止ボタンや、再生位置を示すシークバー、音量調節スライダーなどが表示されるコントロールバーが現れます。これにより、発表者は再生中の音声を直感的に操作することが可能です。
しかし、プレゼンテーション中にマウスポインタを動かしてアイコンを探す操作は、スマートではないかもしれません。より高度な制御方法として、アニメーション機能と連携させる方法が考えられます。例えば、音声の再生、一時停止、または停止を、特定のアニメーションのトリガー(特定の図形をクリックするなど)に割り当てることができます。「アニメーション」タブの「アニメーションウィンドウ」を開き、音声オブジェクトに対して「再生」や「一時停止」のアニメーション効果を追加し、その「トリガー」を設定します。
また、「すべてのスライドで再生」オプション(または「バックグラウンドで再生」)を設定しているBGMは、スライドを切り替えても再生が継続されます。これは便利な反面、特定のセクション(例えば動画を再生するスライドなど)ではBGMを停止したい場合もあるでしょう。その場合は、BGMを停止したいスライドの「画面切り替え」アニメーションのタイミングで、BGM音声の「停止」アニメーションを設定する、といった高度なテクニックが必要になることもあります。このように、スライドショー中の音声制御は、単純な再生だけでなく、プレゼンテーションのシナリオに合わせて細かく設計することが可能です。
パワーポイントの音声読み上げ機能とは
「パワポに音声の埋め込み」を行う従来の方法(MP3の挿入や直接録音)とは別に、「パワーポイントの音声読み上げ」機能というアプローチも存在します。これは、スライド上のテキストボックスやノート(発表者ツールに表示されるメモ)に書かれた文章を、PowerPointやOSが持つ合成音声エンジン(Text-to-Speech,TTS)が読み上げる機能のことを指します。
この機能の最大のメリットは、自分でナレーションを録音する手間が一切かからない点です。スライドのテキストを修正すれば、読み上げられる内容も自動的に更新されるため、修正作業が非常に効率的になります。また、聴覚に障害のある方や、視覚情報と聴覚情報を同時にインプットしたい学習者にとって、アクセシビリティを向上させる手段としても有効です。
PowerPointでの利用方法としては、OS(例えばWindows)が標準で搭載している「ナレーター」機能と連携させる方法や、PowerPoint自体に「読み上げ」機能がアドイン(追加機能)として搭載されている場合があります(「校閲」タブなどに表示されることがあります)。
ただし、この機能を利用する際にはいくつかの点を考慮する必要があります。まず、合成音声の品質です。近年の合成音声は非常に自然になってきてはいますが、人間のナレーターが持つ感情の起伏や、微妙なニュアンス、専門用語の正しいイントネーションなどを完全に再現するのはまだ難しい場合があります。プレゼンテーションのトーン&マナーによっては、機械的な音声が不適切と判断されることもあるかもしれません。
また、これは音声を「埋め込む」のとは異なり、再生する環境(PC)に依存する機能でもあります。作成したPCでは読み上げが機能しても、別のPCに持っていった際にOSの音声エンジンが対応していなければ、意図した通りに動作しない可能性もゼロではありません。アクセシビリティ向上やナレーション作成の補助として非常に有用な機能ですが、録音された音声を埋め込む方法との特性の違いを理解しておくことが大切です。
パワーポイントに音声を入れて動画にする手順
音声を効果的に埋め込み、スライドの切り替えタイミングやアニメーションも完璧に設定できたプレゼンテーションは、それ自体を一つの完結したコンテンツ、すなわち「動画」として書き出すことができます。「パワーポイントに音声を入れて動画にする」プロセスは、オンデマンドの学習教材、Webセミナー(ウェビナー)の録画配信、あるいはYouTubeなどの動画プラットフォームで共有するためのコンテンツを作成する際に極めて有効です。
この操作は、PowerPointの「エクスポート」機能から行います。具体的な手順としては、まず「ファイル」タブをクリックし、左側のメニューから「エクスポート」を選択します。次に、「ビデオの作成」をクリックします。すると、ビデオの品質(解像度)を選択する画面が表示されます。一般的に、Webで共有する場合は「フルHD(1080p)」や「HD(720p)」がよく使われます。最高品質を求めるなら「4K」も選択できますが、ファイルサイズは非常に大きくなります。
次に重要なのが、「記録されたタイミングとナレーションを使用するかどうか」の選択です。「パワーポイントで録音をスライドごと」に行ったり、「スライドショーのリハーサル」機能を使って各スライドの表示時間を正確に記録したりした場合、ここで「記録されたタイミングとナレーションを使用する」を選択します。これにより、リハーサル通りのタイミングでスライドが切り替わり、録音したナレーションが再生される動画が作成されます。もしタイミングを記録していない場合は、「各スライドの所要時間」で、1枚あたりの標準表示時間を秒単位で指定することも可能です。
すべての設定が完了したら、「ビデオの作成」ボタンをクリックします。保存場所とファイル名(ファイル形式はMP4またはWMVが一般的)を指定すると、動画ファイルの書き出し(レンダリング)が開始されます。プレゼンテーションの長さやPCの性能にもよりますが、この処理には数分から数十分かかる場合があります。完了すれば、PowerPointがなくても再生可能な、音声付きの動画ファイルが完成します。
パワーポイントで録音した音声が出ない時の対処法
万全の準備をして「パワポに音声の埋め込み」を行ったにもかかわらず、いざ再生しようとすると「パワーポイントで録音した音声が出ない」というトラブルに見舞われることがあります。これは非常に焦る事態ですが、原因はいくつか考えられるため、落ち着いて一つずつ確認していくことが解決への近道です。
まず最も基本的な確認点は、PC本体のオーディオ設定です。PCがミュート(消音)になっていないか、音量レベルが極端に小さくなっていないかを確認します。また、複数のオーディオ出力デバイス(内蔵スピーカー、ヘッドフォン、外部モニターのスピーカーなど)が接続されている場合、PowerPointが意図しないデバイスから音を出そうとしている可能性もあります。Windowsのサウンド設定や、PowerPoint内の再生設定(もしあれば)を確認し、正しい出力先が選ばれているかを見直しましょう。
次に、PowerPointファイル内の設定です。音声アイコンを選択し、「再生」タブで音量レベルが低く設定されていないか確認します。また、意図せず再生のトリガーが複雑なアニメーションに設定されていて、再生条件を満たしていない可能性も考えられます。
ファイルそのものの問題も疑われます。もし音声ファイルを「埋め込み」ではなく「リンク」で挿入していた場合、元の音声ファイルの場所を移動したり、ファイル名を変更したり、削除したりすると、リンク切れとなり再生できなくなります。特に、他のPCにPowerPointファイルを移動した際にこの問題が起こりがちです。可能であれば、音声ファイルは常に「埋め込み」にすることが推奨されます。
また、挿入した音声ファイルの形式(コーデック)が、再生するPCのPowerPointでサポートされていない場合も再生できません。MP3やWAVなど汎用的な形式であれば問題は起こりにくいですが、特殊な形式の場合は、互換性のある形式に変換し直してから再度挿入する必要があるかもしれません。
最後に、PowerPointソフトウェア自体の不具合や、古いバージョンとの互換性問題も考えられます。PowerPointを再起動する、Officeのアップデートを確認する、といった基本的な対処法も試す価値があるでしょう。
パワポの音声埋め込み活用法の総まとめ
今回はパワポの音声の埋め込みについてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・PowerPointではPC内に保存された音声ファイルをスライドに挿入できる
・音声の挿入は「挿入」タブの「オーディオ」から「このPC上のオーディオ」を選択する
・MP3形式はファイルサイズと音質のバランスが良く、互換性も高いため推奨される
・PowerPoint内で直接ナレーションを録音する機能も備わっている
・「パワーポイントでの音声録音」は「挿入」タブの「オーディオの録音」から行う
・MP4ファイルは通常、音声ではなく動画ファイルとして扱われる
・挿入された音声アイコン(スピーカー)は書式設定でデザイン変更が可能
・「スライドショー中に非表示にする」設定でアイコンを隠すことができる
・音声の再生開始タイミングは「自動」や「クリック時」から選択できる
・「バックグラウンドで再生」はプレゼン全体のBGM設定に便利である
・「パワーポイントの音声読み上げ」はテキストを合成音声で読み上げる機能である
・音声を埋め込んだスライドショーはMP4形式の動画としてエクスポート可能
・「パワーポイントに音声を入れて動画にする」にはエクスポート機能を利用する
・「パワーポイントで録音した音声が出ない」時はPCの音量やファイルのリンク切れを確認する
・音声ファイルはリンク形式よりも埋め込み形式の方がトラブルが少ない
パワポへの音声埋め込みは、プレゼンテーションをよりダイナミックで伝わりやすいものにする可能性を秘めています。
単に情報を羅列するだけでなく、ナレーションによる補足説明やBGMによる雰囲気作りを行うことで、視聴者の理解度やエンゲージメントを高めることが期待できるでしょう。
本記事で紹介した基本的な挿入方法から再生テクニック、トラブルシューティングまでが、あなたのプレゼン資料作成の一助となれば幸いです。
これはCTAサンプルです。
内容を編集するか削除してください。