プレゼンテーション資料を作成していて、いつの間にかパワーポイントのファイルサイズが異常に大きい状態になってしまい、困った経験はないでしょうか。特に画像を多く使った資料では、容量が大きい原因がわからずに保存や共有に時間がかかってしまうことがあります。メールで送れないほどの重さになると、業務の効率も下がってしまいます。そこで今回は、画質をなるべく維持したままパワポのファイルサイズを小さくする方法について解説します。画像圧縮を一括で行う手順や、Macで小さくする方法、無料で使える圧縮ツールの活用法など、様々な角度から情報を調査しました。
・パワーポイントの容量が大きくなる主な原因と対策
・画像を劣化させすぎずにファイルサイズを小さくする手順
・MacやWindowsなど環境に合わせた圧縮方法の違い
・外部ツールやZip圧縮を活用したファイル共有のコツ
パワポのファイルサイズを小さくする原因と方法
ここではパワポのファイルサイズを小さくするための基本的な原因分析と、標準機能を使った対処法について説明していきます。なぜ容量が増えてしまうのかを知ることで、適切な対策が打てるようになります。順に見ていきましょう。
・パワーポイントの容量が大きい原因とは
・パワーポイントが異常に大きい時の確認
・パワーポイントの画像圧縮を一括でする
・パワーポイントを圧縮してメールで送る
・パワーポイントを小さくするMacの手順
・フォントの埋め込みを解除して軽くする
パワーポイントの容量が大きい原因とは
パワーポイントのファイルサイズが大きくなってしまうのには、いくつかの明確な理由が存在します。
最も一般的な原因として挙げられるのが、高解像度の画像データです。最近のスマートフォンやデジタルカメラで撮影された写真は非常に画質が良く、そのままスライドに貼り付けると、1枚あたり数メガバイトの容量を消費することがあります。これらが数十枚重なれば、ファイル全体が数十メガバイトから数百メガバイトに膨れ上がるのは避けられません。
また、画像だけでなく、動画ファイルや音声データが埋め込まれている場合も容量を圧迫します。動画は短いものであってもファイルサイズが大きくなりがちです。
さらに、意外と見落としがちなのがフォントの埋め込み設定や、編集履歴データ、スライドマスターに残った未使用のレイアウトなどです。これらが積み重なることで、見た目のシンプルさに反してデータ容量だけが肥大化してしまうのです。
まずは、自分のファイルがどのような要素で構成されているかを見直すことが、軽量化への第一歩となります。
パワーポイントが異常に大きい時の確認
作成したスライドの枚数が少ないにもかかわらず、パワーポイントのファイルサイズが異常に大きいと感じる場合、目に見えないデータが影響している可能性があります。
例えば、他の資料からスライドをコピー&ペーストした際に、元のスライドマスター情報まで一緒に取り込んでしまっているケースが多くあります。使用していないレイアウトやテーマが裏側で保存され続けていると、不要なデータとして容量を食ってしまいます。
また、貼り付けた画像をトリミング機能で加工した場合、画面上では切り取られたように見えても、データとしては削除されずに残っていることがあります。これは、後からトリミング範囲を修正できるようにするための機能ですが、軽量化の観点からはマイナスに働きます。
その他にも、Excelなどのデータをリンク貼り付けではなく埋め込み貼り付けにしていると、Excelファイルそのもののデータ量が加算されてしまいます。
異常な重さを感じたら、まずはスライドマスターの確認や、画像の元データ処理、オブジェクトの埋め込み状況などをチェックしてみるのが良いでしょう。
パワーポイントの画像圧縮を一括でする
パワーポイントには、貼り付けた画像の解像度を下げて、ファイルサイズを小さくする「図の圧縮」という機能が備わっています。これを使えば、一枚ずつ処理することなく、プレゼンテーション内の画像圧縮を一括で行うことが可能です。
手順としては、まずスライド内の任意の画像を選択し、「図の形式」タブにある「図の圧縮」をクリックします。そこで表示されるオプションで、「この画像だけに適用する」のチェックを外すことがポイントです。このチェックを外すことで、ファイル内のすべての画像に対して圧縮設定が適用されます。
解像度の選択肢には、印刷用(220ppi)、Web用(150ppi)、電子メール用(96ppi)などがあります。
画質を落とさず軽くすることを重視する場合は、高画質(330ppi)やHD(330ppi)を選ぶか、あるいは「印刷用」程度に留めておくのが無難です。
一方で、とにかく軽くしたい場合は「電子メール用」などを選ぶと劇的にサイズダウンしますが、スクリーンで拡大表示した際に画像が荒くなる可能性があるため、用途に合わせて慎重に選ぶ必要があります。
パワーポイントを圧縮してメールで送る
ビジネスの現場では、パワーポイントを圧縮してメールで添付したい場面が多々あります。一般的なメールサーバーでは、添付ファイルの容量制限が10MBから20MB程度に設定されていることが多く、これを超えると送信エラーになってしまいます。
そのため、メールで送ることを前提とするならば、前述した画像の圧縮機能を使って、全体のサイズを数MB程度まで落とすのが理想的です。
もし、どうしても画質を維持しなければならず、ファイルサイズを小さくできない場合は、メールへの直接添付を諦めるという選択肢も視野に入れる必要があります。
最近ではクラウドストレージサービス(OneDrive、Googleドライブ、Dropboxなど)にファイルをアップロードし、その共有リンクをメール本文に貼り付けて送る方法が一般的になりつつあります。
これなら、相手のメールボックスを圧迫することなく、高画質なデータをそのまま共有できます。
しかし、セキュリティの観点からクラウド利用が制限されている企業もあるため、まずはファイル自体を軽量化する努力を行い、それでも難しい場合の代替案としてリンク共有を検討するのがスムーズです。
パワーポイントを小さくするMacの手順
Windows版とMac版のPowerPointでは、インターフェースや機能の名称が多少異なるため、パワーポイントのファイルサイズを小さくするMacでの操作には注意が必要です。
Mac版の場合、メニューバーの「ファイル」から「ファイルサイズを圧縮」または「図の圧縮」を選択することで、画像の解像度を変更できます。
Windows版と同様に、画像の品質を選択するプルダウンメニューが表示されますので、目的に応じた画質設定を選びましょう。
また、Mac特有の方法として、PDFとして保存する際にサイズを縮小する方法もあります。
「ファイル」から「エクスポート」を選び、ファイル形式をPDFにした上で、Quartzフィルタのオプションで「Reduce File Size」を選択するという手段です。ただし、この方法はPDF化してしまうため、相手が編集する必要がある場合には向きません。あくまで閲覧用として送る場合に有効なテクニックと言えます。
Macユーザー同士であればAirDropで重いファイルを簡単に送受信できますが、Windowsユーザーとのやり取りも考慮すると、PowerPoint側での適切な圧縮処理を覚えておくことは非常に重要です。
フォントの埋め込みを解除して軽くする
パワーポイントのファイルサイズが小さくならない原因の一つに、フォントデータの埋め込みが挙げられます。
「ファイルにフォントを埋め込む」という設定は、自分のパソコンに入っている特殊なフォントを、相手のパソコンでも同じように表示させるために非常に便利な機能です。しかし、フォントデータそのものをファイル内に格納するため、容量が数MB単位で増加することがあります。
もし、標準的なフォント(游ゴシックやメイリオ、Arialなど)しか使っていないのであれば、この設定は不要です。
設定を確認するには、「ファイル」タブの「オプション」から「保存」を開き、「ファイルにフォントを埋め込む」のチェックボックスを確認します。ここにチェックが入っている場合は、外して保存し直すだけで、ファイルサイズが劇的に軽くなる可能性があります。
どうしてもデザイン性の高いフォントを維持したい場合は、「使用されている文字だけを埋め込む」を選択することで、フォントデータ全体を埋め込むよりも容量を節約できます。
用途に合わせて、デザインと容量のバランスを調整してみてください。
パワポのファイルサイズを小さくするツールと対処
続いては、パワーポイントの標準機能だけでは十分に軽くならなかった場合の応用テクニックや、外部ツールを活用する方法について解説します。また、圧縮できないトラブルへの対処法も併せて紹介します。順に見ていきましょう。
・パワーポイントの圧縮を無料ソフトで
・パワーポイントの圧縮をzipで行うには
・動画や音声などのメディアを最適化する
・パワーポイントが圧縮できない時の対処
・スライドマスターの不要な画像を削除
・パワポのファイルサイズを小さくまとめ
パワーポイントの圧縮を無料ソフトで
パワーポイント自体の機能で限界を感じた場合、パワーポイントの圧縮を無料でできるWebサービスの利用を検討してみるのも一つの手です。
インターネット上には、PDFやOfficeファイルをドラッグ&ドロップするだけで、自動的に最適化して圧縮してくれるサイトがいくつか存在します。例えば、SmallpdfやiLovePDFといったサービスは有名で、直感的な操作で利用できる点が魅力です。
これらのツールは、独自のアルゴリズムを使って画像の画質を極力保ちながら、不要なデータを削ぎ落としてくれるため、手動で設定するよりも高い圧縮率を誇ることがあります。
ただし、社外秘のデータや個人情報が含まれる資料を、オンライン上の外部サーバーにアップロードすることにはセキュリティ上のリスクが伴います。
多くのサービスでは、アップロードされたファイルは一定時間後に削除される規約になっていますが、会社のセキュリティポリシーで禁止されている場合も少なくありません。
利用する際は、あくまで公開済みの資料や、機密性の低い一般的な内容のファイルに限定するなど、情報の取り扱いには十分な注意が必要です。
パワーポイントの圧縮をzipで行うには
ファイルを編集せずに、送受信や保存のために一時的に容量を減らしたい場合は、パワーポイントの圧縮をzip形式(圧縮フォルダー)に変換して行うのが最も手軽で確実な方法です。
Zip圧縮はWindowsやMacのOSに標準搭載されている機能であり、特別なソフトをインストールする必要がありません。
操作は簡単で、対象のファイルを右クリックし、Windowsなら「送る」から「圧縮(zip形式)フォルダー」、Macなら「圧縮」を選択するだけです。
Zip圧縮を行うと、ファイルサイズが元の8割から9割程度になることが一般的です。
画像や動画がすでに高度に圧縮されているPowerPointファイルの場合、Zipにしても劇的にサイズが減るわけではありませんが、複数のファイルを一つのフォルダーにまとめて送る際などには非常に便利です。
また、メールソフトによっては、Zipファイルにすることで破損を防げるというメリットもあります。
「とりあえず少しでも小さくしたい」「複数の資料を散らばらずに送りたい」という場面では、まずZip圧縮を試してみると良いでしょう。
動画や音声などのメディアを最適化する
最近のプレゼンテーションでは、視覚的なインパクトを与えるために動画やナレーション音声を埋め込むケースが増えています。しかし、これらは画像以上に容量を圧迫する大きな要因となります。
パワーポイントには、こうしたメディアファイルを適切なサイズに変換する「メディアの圧縮」機能が備わっています。
「ファイル」タブの「情報」メニュー内に「メディアの圧縮」という項目があり、ここから画質レベルを選択できます。
例えば、「フルHD(1080p)」、「HD(720p)」、「標準(480p)」といった選択肢があります。
プロジェクターで大画面に映すのであればフルHDやHDが良いですが、手元のPC画面での確認やメール共有が主目的であれば、標準画質でも十分な場合が多いです。
メディアを圧縮することで、数十MB単位で容量が削減されることも珍しくありません。
また、動画そのものをPowerPointに埋め込むのではなく、YouTubeなどの動画共有サイトにアップロードし、そのリンクをスライドに貼るという方法も、ファイルサイズを劇的に軽くする有効な手段です。
パワーポイントが圧縮できない時の対処
ここまで紹介した方法を試しても、なぜかパワーポイントが圧縮できない、あるいはファイルサイズがほとんど変わらないという状況に陥ることがあります。
その原因として考えられるのは、ファイル自体が破損している可能性や、すでに最適化が済んでいる画像ばかりを使用している可能性です。
また、「高速保存」機能が有効になっているために、編集履歴などの余分なデータが蓄積されているケースも考えられます。
このような場合、一度「名前を付けて保存」を行い、全く別のファイル名で保存し直してみることをおすすめします。これによって内部データが整理され、容量が減ることがあります。
さらに、拡張子が「.ppt」(古い形式)になっている場合は、「.pptx」(新しい形式)で保存し直すだけで、ファイル構造が効率化され、大幅に軽くなることがあります。
それでも解決しない場合は、新規作成した空白のパワーポイントファイルに、既存のスライドを数枚ずつコピー&ペーストして移し替え、どのスライドが原因で重くなっているのかを特定する地道な作業が必要になるかもしれません。
スライドマスターの不要な画像を削除
記事の冒頭でも触れましたが、パワーポイントのファイルサイズを小さくするために見落としがちなのが、スライドマスターに残存する不要なデータです。
スライドマスターは、全スライドの背景やフォントの設計図となる部分ですが、テーマを変更したり、テンプレートを使い回したりしているうちに、使っていない背景画像やロゴ画像がマスター上に残り続けることがあります。
これらは通常のスライド編集画面からは見えないため、削除しない限りデータ容量として残り続けます。
確認方法は、「表示」タブから「スライドマスター」を選択し、左側に表示されるスライドの一覧をチェックします。
明らかに現在の資料で使用していないレイアウトや、過去のイベントのロゴなどが貼り付いているマスタースライドがあれば、それらを削除してください。
また、マスター上の画像も「図の圧縮」の対象となりますので、背景画像なども忘れずに圧縮処理を行うと良いでしょう。
見えない部分の断捨離を行うことで、驚くほどファイルが軽くなることがあります。
パワポのファイルサイズを小さくまとめ
今回はパワポのファイルサイズを小さくする方法や画質を維持するコツについてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・容量が重い主な原因は高解像度の画像である
・動画や音声ファイルも容量圧迫の要因になる
・フォントの埋め込み設定がサイズを増やすこともある
・スライドマスターに不要なデータが残る場合がある
・図の圧縮機能で一括して画像を軽量化できる
・メール送信用には解像度を96ppi程度にする
・印刷用には220ppi程度の画質維持が望ましい
・MacではPDF保存時のフィルタ機能も有効である
・標準フォントを使用すれば埋め込みは不要である
・無料のオンライン圧縮ツールも選択肢の一つである
・Zip圧縮は手軽でファイル破損防止にもなる
・メディアの圧縮で動画サイズを最適化できる
・古いppt形式よりpptx形式の方が軽量である
・名前を付けて保存で内部データが整理される
・スライドマスターの整理は意外と効果が高い
パワーポイントのファイルサイズが小さくなれば、メールでの送受信がスムーズになるだけでなく、プレゼンテーション中の動作も軽快になり、トラブルのリスクを減らすことができます。
画質と容量のバランスを見極めながら、今回紹介したテクニックを状況に合わせて使い分けてみてください。
快適な資料作成環境を整え、より効果的なプレゼンテーションを目指していきましょう。
これはCTAサンプルです。
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