エクセル作業において、複数のシート間にあるデータの違いを見つける作業は、非常に時間がかかり、また見落としが発生しやすい部分かもしれません。特に、膨大なデータが入力された二つのリストを突き合わせる場合、手作業での確認は現実的ではないでしょう。エクセルで差分を比較するシートの操作方法を知っていると、作業効率が格段に向上する可能性があります。例えば、古いデータと新しいデータの更新箇所を特定したり、二つの異なるリストから共通項目や差異のある項目を抽出したりする場合に役立ちます。この記事では、エクセルに標準搭載されている機能や関数、さらには外部ツールを使った方法まで、シート間の差分比較に関する様々なアプローチを調査し、まとめています。エクセル2つのシート照合や、エクセル比較シート全体の方法を探している方にも、ヒントが見つかるかもしれません。
この記事を読むことで、以下のような点が理解できるでしょう。
・エクセルの基本機能を使ったシート比較の方法
・関数を利用した具体的な差分抽出のテクニック
・マクロや外部ツールを活用した高度な比較手段
・データ比較を行う際の注意点や効率化のヒント
エクセルで差分比較を行うシート操作の基本
ここではエクセルで差分比較を行うシート操作の基本的な方法について説明していきます。関数を使った方法から、視覚的に違いを見つける方法まで、いくつかの基本的なアプローチが考えられます。順に見ていきましょう。
条件付き書式でシート比較し色付けする方法
IF関数でセル内容の差分を出すテクニック
エクセル2つのシート比較はVLOOKUP関数で
COUNTIF関数によるデータ比較と差分抽出
EXACT関数で厳密なデータ照合を行う
エクセルで比較するシート全体の注意点
条件付き書式でシート比較し色付けする方法
エクセルで2つのシートやデータ範囲を比較する際、視覚的に差分を把握しやすい方法として「条件付き書式」の活用が挙げられます。この機能は、特定の条件を満たすセルの書式(色、フォントなど)を自動で変更するものです。エクセルシート比較色付けの手法は、直感的に違いを見つけたい場合に特に有効と考えられます。
具体的な手順としては、まず比較したい範囲を選択します。例えば、Sheet1とSheet2のA1からC100の範囲を比較したい場合、Sheet1の該当範囲を選択した状態で、「ホーム」タブの「条件付き書式」から「新しいルール」を選びます。「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選択し、例えば=A1<>Sheet2!A1のような数式を入力します。この数式は、アクティブセル(この場合はA1)がSheet2の対応するセル(Sheet2!A1)と異なる場合にTRUE(真)となり、設定した書式(例:セルの背景色を黄色にする)が適用されることを意味します。この設定を範囲全体に適用することで、Sheet1側でSheet2と内容が異なるセルだけが自動的に色付けされ、一目で差分が分かるようになる可能性があります。
この方法のメリットは、関数を直接セルに入力する必要がなく、元のデータを変更せずに差分箇所をハイライトできる点です。また、設定も比較的簡単であり、エクセルの基本的な操作に慣れていればすぐに試すことができるでしょう。一方で、デメリットとしては、あくまで「異なる」という事実を色で示すだけで、具体的にどのように異なるのか(例:数値の大小、テキストの部分的な違い)までは詳細に表示されません。また、比較対象のシートや範囲が複雑になると、数式の管理が難しくなることも考えられます。エクセルデータ比較差分を視覚的に素早く確認したい初期段階のチェックなどに向いている方法と言えるかもしれません。
IF関数でセル内容の差分を出すテクニック
エクセルで差分を出す基本的な関数として、IF関数は非常に有用です。IF関数は、指定した条件が真(TRUE)か偽(FALSE)かによって、表示する値や実行する処理を分岐させることができます。これを利用して、2つのセルの内容が一致しているか、それとも異なっているかを判定させることが可能です。
例えば、Sheet1のA1セルとSheet2のA1セルを比較したい場合を考えてみましょう。作業用のシート(例えばSheet3)のA1セルに、=IF(Sheet1!A1=Sheet2!A1, "一致", "不一致")という数式を入力します。この数式は、「もしSheet1のA1とSheet2のA1が等しければ『一致』と表示し、そうでなければ『不一致』と表示する」という意味になります。この数式を比較したい範囲全体にコピー(オートフィル)すれば、どのセルとどのセルが異なっているのかを一覧で確認することができるようになります。
この方法のメリットは、非常にシンプルで理解しやすい点です。関数を使ったことがあれば、誰でも簡単に設定できるでしょう。また、「不一致」と表示された箇所に注目すればよいため、差分箇所の特定が容易になる可能性があります。さらに、IF関数の結果を「不一致」だけでなく、例えば=IF(Sheet1!A1=Sheet2!A1, "", Sheet1!A1&" / "&Sheet2!A1)のように工夫することで、もし異なっていた場合には両方のセルの内容を並べて表示させるといった、より詳細な情報を得ることも可能です。
ただし、この方法はセル単位での比較が基本となるため、行全体や列全体がずれている場合、あるいはデータの順序が異なっている場合には、意図した通りの比較結果が得られない可能性があります。あくまで同じ位置にあるセル同士を比較する際に有効な手法と考えられます。エクセル差分比較関数の中でも基本中の基本であり、まずは試してみる価値のある方法の一つです。
エクセル2つのシート比較はVLOOKUP関数で
エクセル2つのシート比較vlookup関数を使う方法は、特にリスト形式のデータ照合において強力な手段となり得ます。VLOOKUP関数は、指定した範囲の左端の列で特定の値を検索し、その値と同じ行にある別の列の値を返す関数です。この性質を利用して、一方のシートに存在するデータが、もう一方のシートにも存在するかどうかを確認することができます。
例えば、Sheet1のA列に商品IDリスト、Sheet2のA列にも商品IDリストがあり、Sheet1のIDがSheet2にも存在するかを調べたい場合を想定します。Sheet1のB1セルに=VLOOKUP(A1, Sheet2!A:A, 1, FALSE)という数式を入力します。この数式は、「Sheet1のA1セルの値を、Sheet2のA列全体で検索し、もし見つかればその値(検索値と同じ値)を返し、見つからなければエラー値(#N/A)を返す」という意味になります(第3引数を1、第4引数をFALSE(完全一致)にすることがポイントです)。この数式をB列全体にコピーすれば、Sheet1のリストにあってSheet2のリストにないID(つまり差分)が、#N/Aエラーとして表示されることになります。
この手法のメリットは、データの順序が異なっていても、キーとなる値(この場合は商品ID)を基準に存在確認ができる点です。IF関数のようなセル位置に依存した比較よりも、実務的なデータ照合に適している場面が多いかもしれません。また、=IFERROR(VLOOKUP(A1, Sheet2!A:A, 1, FALSE), "Sheet2に存在しない")のようにIFERROR関数と組み合わせることで、エラー表示をより分かりやすいメッセージ(例:「Sheet2に存在しない」)に置き換えることも可能です。
一方で、VLOOKUP関数は検索値が検索範囲の「左端」の列になければならないという制約があります。また、検索対象のデータ量が多い場合、計算に時間がかかる可能性がある点も考慮する必要があるでしょう。エクセル2つのシート照合を行う上で、非常に一般的かつ強力な方法ですが、関数の特性を理解して使うことが重要です。
COUNTIF関数によるデータ比較と差分抽出
COUNTIF関数もまた、2つのシート間でデータの比較や差分抽出を行う際に役立つ関数の一つです。COUNTIF関数は、指定した範囲内で、特定の条件に一致するセルの個数を数える関数です。この機能を利用して、一方のシートの値がもう一方のシートの範囲内にいくつ存在するかを調べることができます。
具体的な使用例として、Sheet1のA列にあるデータ(例:顧客名リスト)が、Sheet2のA列(比較対象の顧客名リスト)に存在するかどうかを確認するケースを考えてみます。Sheet1のB1セルに=COUNTIF(Sheet2!A:A, A1)という数式を入力します。この数式は、「Sheet2のA列全体の中で、Sheet1のA1セルと同じ値を持つセルがいくつあるか」をカウントします。この数式をB列全体にコピーすると、B列にはカウント数が表示されます。もしカウント数が0であれば、Sheet1のA1セルの値はSheet2のA列には存在しない(つまり差分)ということが分かります。逆にカウント数が1以上であれば、存在するということを示します。
この方法のメリットは、VLOOKUP関数と同様にデータの並び順に依存しない点、そしてVLOOKUP関数と違って検索範囲が左端である必要がない点です。単純に存在するか否か(個数)を知りたい場合には、COUNTIF関数の方がシンプルで分かりやすいかもしれません。IF関数と組み合わせて、=IF(COUNTIF(Sheet2!A:A, A1)=0, "Sheet2に存在しない", "存在する")のように表示を工夫することも可能です。
ただし、COUNTIF関数はあくまで「個数」を返すため、重複するデータが比較対象(Sheet2)にある場合、その個数(例:2, 3…)が返されます。VLOOKUP関数が最初に見つかったデータに関連する情報(この場合は検索値そのもの)を返すのとは挙動が異なります。エクセル2つのシート比較抽出の手段として、どちらの関数が適しているかは、何を明らかにしたいのか(単なる存在有無か、関連する情報か)によって使い分けると良いでしょう。重複データの扱いにも注意が必要です。
EXACT関数で厳密なデータ照合を行う
エクセルでデータ比較を行う際、特に注意が必要なのが「見た目は同じでも、エクセル上では異なると認識されるデータ」の存在です。例えば、大文字と小文字の違い(”Excel”と”excel”)、全角と半角のスペースの違い、あるいは目に見えない制御文字の有無などです。通常の比較演算子(=)やVLOOKUP関数、COUNTIF関数の多くは、初期設定では大文字と小文字を区別しません。このような場合に、より厳密な比較を行いたいときに役立つのがEXACT関数です。
EXACT関数は、2つの文字列を比較し、大文字と小文字を含めて完全に一致する場合にのみTRUE(真)を返し、それ以外の場合はすべてFALSE(偽)を返す関数です。
使用例として、Sheet1のA1セルとSheet2のA1セルの文字列を厳密に比較したい場合、作業用のシートのセルに=EXACT(Sheet1!A1, Sheet2!A1)と入力します。もし両者が「Excel」と「excel」であった場合、通常の=Sheet1!A1=Sheet2!A1はTRUEを返す可能性がありますが、EXACT関数はFALSEを返します。これにより、意図しないデータの不一致を見逃すリスクを減らせるかもしれません。
この関数のメリットは、その厳密性にあります。特に、パスワードやID、管理コードなど、大文字と小文字や記号が厳密に区別されるべきデータの照合を行う際には、EXACT関数の使用が推奨されます。エクセル2つのシート照合において、データのクリーンさや整合性を高いレベルで担保したい場合には有効な選択肢となるでしょう。
一方で、デメリットとしては、その厳密さが逆に作用することもあります。例えば、本来は同一とみなしたいデータ(例:単なる入力時の大文字・小文字の揺れ)まで「不一致」として検出してしまう可能性がある点です。どのようなレベルの比較が必要なのか(大文字・小文字を同一とみなすか、区別するか)を事前に定義し、目的に合わせて他の関数(例:LOWER関数やUPPER関数で文字列を統一してから比較する)と使い分けることが肝心です。
エクセルで比較するシート全体の注意点
エクセルでシート全体を比較する場合、いくつかの注意点を考慮する必要があります。単にセル単位で比較するだけでは見えてこない問題や、効率的な比較を妨げる要因が存在するかもしれないからです。エクセル比較シート全体という作業は、思った以上に複雑さを伴うことがあります。
第一に、データの「構造」が同じかどうかを確認することが重要です。例えば、Sheet1とSheet2で比較したいデータが、同じ列(例:どちらもC列に顧客名)に入っているか、見出し行の有無や位置は揃っているか、といった点です。もしデータの構造が異なっていれば、単純に同じアドレス(例:C1セル同士)を比較しても意味がありません。VLOOKUP関数やCOUNTIF関数を使う場合でも、キーとなる列が明確に定義されている必要があります。
第二に、「データの並び順」です。もしSheet1とSheet2が、本来同じ順序で並んでいるべきデータ(例:日付順、ID順)であるならば、まずは並び替えを行ってから比較する方が効率的な場合があります。しかし、リストの項目自体に増減がある場合(Sheet1にしか無い行、Sheet2にしか無い行がある)、単純な並び替えだけでは対応が難しく、VLOOKUP関数やCOUNTIF関数、あるいは後述するマクロやツールを使った方が適切なケースが多いでしょう。
第三に、「非表示の行や列、フィルター」の存在です。比較対象のシートにフィルターがかかっていたり、行や列が非表示になっていたりすると、比較の範囲が意図したものと異なる可能性があります。比較作業を始める前に、これらの設定を解除し、全データが表示された状態にしておくことが望ましいです。
第四に、「セルの書式」の違いです。例えば、一方が「数値」として、もう一方が「文字列」として入力された数字(例:「123」と”123″)は、見た目が同じでもエクセル内部では異なるデータとして扱われることがあります。これが原因で、比較がうまくいかないケースも考えられます。
これらの点を踏まえると、エクセル比較シート全体の作業は、単なる機能の適用だけでなく、比較前のデータ準備(前処理)が非常に重要であると言えるでしょう。
エクセルの差分比較でシートを扱う高度なテクニック
ここではエクセルの差分比較でシートを扱うための、より高度なテクニックについて説明していきます。基本的な関数だけでは対応が難しい複雑な比較や、大量のデータの差分を効率的に見つけたい場合に役立つ方法が含まれます。順に見ていきましょう。
マクロ(VBA)で差分比較を自動化する
Power Queryを使ったデータ比較と照合
専用の比較ツール(アドイン)の利用
エクセル2つのシート照合の応用テクニック
エクセルで差分を出す時の総合的なコツ
エクセルの差分比較でシートを扱う総まとめ
マクロ(VBA)で差分比較を自動化する
エクセルの標準機能や関数だけでは対応が難しい、あるいは比較作業を定型化・自動化したい場合には、マクロ(VBA)の利用が有力な選択肢となります。VBA(Visual Basic for Applications)は、エクセル操作を自動化するためのプログラミング言語であり、これを使うことで独自の差分比較ロジックを構築することが可能です。
例えば、VBAを使えば、2つのシート(Sheet1とSheet2)の全セルを順番に巡回し、内容が異なるセルを特定し、そのセルの背景色を変更する(エクセルシート比較色付け)、あるいは差分がある行だけを別のシートに抽出する(エクセル2つのシート比較抽出)といった処理を自動で実行させることができます。For...Nextループを使ってセル範囲を走査し、If文でセルの値を比較する、といった基本的なプログラミングの組み合わせで、柔軟な比較処理を記述できます。
マクロを利用する最大のメリットは、その「自動化」と「カスタマイズ性」です。一度マクロを作成してしまえば、ボタン一つで複雑な比較処理を何度でも正確に実行できるようになります。これにより、手作業による比較で発生しがちな見落としやミスを防ぎ、作業時間を大幅に短縮できる可能性があります。また、単純な一致・不一致だけでなく、「数値が一定以上異なっていたら」「片方にしか存在しない行だったら」といった複雑な条件での差分検出も、ロジック次第で実現可能です。
一方で、デメリットとしては、VBAの学習コストが挙げられます。基本的なプログラミングの知識が必要となるため、エクセルの関数を使うのに比べてハードルが高いと感じるかもしれません。また、作成したマクロが意図通りに動作するかどうかのデバッグ(不具合修正)にも時間がかかることがあります。さらに、処理対象のデータ量が膨大になると、VBAの実行自体に時間がかかる場合もあるため、効率的なコードの書き方を工夫する必要も出てくるでしょう。とはいえ、繰り返し行う差分比較作業に悩まされているのであれば、VBAの学習に挑戦してみる価値は十分にあると考えられます。
Power Queryを使ったデータ比較と照合
エクセルのアドイン機能である「Power Query」(Excel 2016以降は「取得と変換」として標準搭載)は、データの取得、変換、結合を効率的に行うための強力なツールであり、シート間の差分比較や照合にも活用できます。Power Queryは、VBAのようなプログラミング知識を必要とせず、グラフィカルなインターフェース(GUI)操作で多くの処理を実行できる点が特徴です。
Power Queryを使って2つのシート(またはテーブル)を比較する一般的な方法として、「マージ」機能が挙げられます。これは、データベースにおける「結合(Join)」の概念に似ています。例えば、Sheet1とSheet2にそれぞれ共通のキー(例:ID)がある場合、このキーを基に2つのテーブルをマージすることができます。マージの種類(左外部、右外部、完全外部など)を選択することで、「Sheet1にだけ存在するデータ」「Sheet2にだけ存在するデータ」「両方に存在するが、他の列の値が異なるデータ」などを柔軟に抽出することが可能になります。
例えば、「完全外部マージ」を行い、結合キーで照合した結果、片方のテーブルにしかなかった行は、もう片方のテーブルの列がnull(空)として表示されます。これを利用して、どちらか一方にしか存在しない行(=差分)を特定できます。また、両方に存在する行については、マージ後に他の列同士を比較する列を追加(例:カスタム列でIF文を使う)することで、値が異なる項目を見つけることもできます。
Power Queryのメリットは、大量のデータであっても比較的快適に処理できる点、そして一連の処理ステップが記録され、データの更新時に「更新」ボタンを押すだけで同じ処理を再現できる点です。これにより、比較作業の自動化と再現性が高まります。
ただし、Power Queryは従来のシート上での関数操作とは異なる概念(テーブル、クエリ、ステップなど)に基づいているため、初めは少し戸惑うかもしれません。しかし、GUI操作が中心であるため、基本的な流れを一度覚えてしまえば、エクセル2つのシート照合やデータ比較差分を非常に効率的に行える強力な武器となるでしょう。
専用の比較ツール(アドイン)の利用
エクセルの標準機能や関数、マクロ、Power Queryを使っても、複雑なシート比較や、特に書式やコメント、数式自体の違いまで含めた詳細な比較を行いたい場合、限界を感じることがあるかもしれません。そのような場合には、エクセルやファイルを比較するために特化した「専用のツール」や「アドイン」を利用することも一つの解決策となります。
これらのツールは、多くの場合、エクセルの標準機能を超える高度な比較機能を提供しています。例えば、2つのエクセルファイル(.xlsx)を指定するだけで、シートごと、セルごとに内容の違いを自動で検出し、差分箇所を分かりやすくハイライト表示してくれる機能を持つものがあります。単なる値の違いだけでなく、数式が変更されている箇所、セルの書式設定(色、フォント、罫線など)が異なる箇所、あるいは挿入・削除された行や列まで検出できるツールも存在します。
代表的な例としては、エクセルのアドインとして提供されているものや、独立したソフトウェアとして動作するものがあります。Microsoft自身が提供する「Spreadsheet Compare」(Office Professional Plusエディションなどに含まれる)もその一つです。これは、2つのブックを詳細に比較し、値、数式、書式、VBAコードなどの違いをレポートする機能を持っています。
これらの専用ツールを利用するメリットは、専門的な機能が予め用意されているため、自分で複雑な関数を組んだり、マクロを作成したりする手間が省け、迅速かつ高精度な比較が期待できる点です。特に、ファイルのバージョン管理や、修正箇所の確認(レビュー)作業など、厳密な差分管理が求められる業務において有効でしょう。
一方で、多くの高機能なツールは有償である場合が多い点、または特定のエクセルのバージョンやエディションでしか利用できない場合がある点がデメリットとして考えられます。また、ツールの操作方法を新たに覚える必要もあります。自身の行う比較作業の頻度や、求められる比較のレベル(単純な値の比較か、書式や数式まで含むか)を考慮し、標準機能では不十分と判断した場合に、これらのツールの導入を検討してみると良いかもしれません。
エクセル2つのシート照合の応用テクニック
エクセル2つのシート照合を行う際、基本的な関数(VLOOKUP, COUNTIFなど)や機能(Power Queryなど)に加えて、いくつかの応用テクニックを知っておくと、より複雑な比較や効率化に対応できる可能性があります。
一つのテクニックとして、「作業列」の活用が挙げられます。例えば、比較したいキーが複数の列にまたがっている場合(例:「姓」と「名」の両方が一致するか調べたい)、そのままではVLOOKUP関数などで扱いにくいことがあります。このような時、両方のシートに作業列を設け、=A1&B1のように比較したい列の値をアンパサンド(&)で連結した「複合キー」を作成します。この複合キーを基にVLOOKUPやCOUNTIFで照合を行えば、複数の条件で一致するかどうかを簡単に判定できます。
また、配列数式や、比較的新しいエクセルの関数(例:FILTER関数, XLOOKUP関数)を活用する方法もあります。特にFILTER関数(Microsoft 365やExcel 2021で利用可能)は、指定した条件に一致するデータを動的に抽出できるため、例えば「Sheet1のリストの中で、COUNTIFを使ってSheet2に存在しない(カウントが0)と判定されたデータだけを抽出する」といった処理を、=FILTER(Sheet1!A:A, COUNTIF(Sheet2!A:A, Sheet1!A:A)=0)のような単一の数式で実現できる場合があります。これは、従来の方法よりもシンプルで強力な差分抽出手段となり得ます。
さらに、ピボットテーブルを使った照合テクニックも考えられます。2つのシートのデータをPower Queryなどで一つのテーブルにまとめ、「データの出典」(例:”Sheet1″, “Sheet2″)を示す列を追加した上でピボットテーブルを作成します。行にキーとなる項目(例:ID)、列に出典、値にキーのカウントを設定すれば、IDごとに出典が”Sheet1″のみ、”Sheet2″のみ、または”両方”に存在するかを一覧で把握することが可能になるかもしれません。
これらの応用テクニックは、一見すると複雑に見えるかもしれませんが、使いこなすことで、エクセル2つのシート照合の幅が広がり、より高度なデータ分析や差分比較に対応できるようになるでしょう。
エクセルで差分を出す時の総合的なコツ
エクセルで差分を出す作業は、使用する機能や関数に関わらず、いくつかの共通したコツや心構えを持つことで、よりスムーズに、そして正確に行うことができるようになるかもしれません。エクセル差分を出すというタスクの精度を高めるための、総合的なポイントをいくつか挙げます。
第一に、前述の「エクセルで比較するシート全体の注意点」でも触れましたが、「比較前のデータクレンジング(前処理)」が非常に重要です。比較対象となるデータに、不要なスペース(特に目に見えない末尾のスペースなど)が含まれていないか(TRIM関数で除去)、数値と文字列が混在していないか(VALUE関数やTEXT関数で統一)、全角と半角が不揃いでないか(ASC関数やJIS関数で統一)などを確認し、データを整えることが、正確な比較の第一歩となります。大文字・小文字を区別しないのであれば、LOWER関数やUPPER関数で統一するのも良い方法です。
第二に、「何をキーとして比較するのか」を明確に定義することです。2つのシートを照合する際、何をもって「同じデータ」とみなすのか(例:ID番号が一致したら? 氏名と生年月日が両方一致したら?)、そのキーとなる列(または列の組み合わせ)がユニーク(一意)であるかを確認することが不可欠です。キーが曖 U+9591 であったり、重複していたりすると、意図した通りの比較結果は得られません。
第三に、「比較の目的」を明確にすることです。単に「異なるセル」を見つけたいだけなのか(条件付き書式やIF関数)、それとも「Sheet1にしか無いデータ」を抽出したいのか(VLOOKUPやCOUNTIF, Power Query)、あるいは「数値の差」を具体的に知りたいのか(差分を計算する列を追加)によって、採用すべき手法は異なります。目的が曖昧なまま作業を始めると、最適な方法を選べず、遠回りになる可能性があります。
最後に、一つの方法に固執しないことです。エクセルには多様な機能が備わっています。単純な比較なら条件付き書式、リストの照合ならVLOOKUPやCOUNTIF、複雑な抽出や自動化ならPower QueryやVBA、といった具合に、状況やデータの特性、自身のスキルレベルに応じて、最適なツールや関数を柔軟に使い分けることが、エクセルで効率よく差分を出すための最も重要なコツと言えるかもしれません。
エクセルの差分比較でシートを扱う総まとめ
今回はエクセルで差分比較を行いシートを扱う方法についてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・エクセルでの差分比較は作業効率化に不可欠
・手作業での比較は時間とミスの原因になり得る
・条件付き書式は視覚的に差分を把握するのに有効
・IF関数はセル単位の単純な一致・不一致判定に使える
・VLOOKUP関数はキーを基にリストの存在確認や照合に適する
・COUNTIF関数も存在確認に使えVLOOKUPよりシンプルな場合がある
・EXACT関数は大文字・小文字を区別する厳密な比較に用いる
・シート全体の比較ではデータ構造や並び順の前処理が重要
・非表示行やフィルター、セルの書式違いに注意が必要
・マクロ(VBA)は複雑な比較処理の自動化とカスタマイズに優れる
・Power Query(取得と変換)はGUI操作で高度なデータマージ・比較が可能
・専用の比較ツールやアドインは標準機能を超える詳細な比較を提供
・作業列で複合キーを作成すると複数列での照合が容易になる
・FILTER関数など新しい関数は差分抽出をシンプルにする可能性
・データクレンジング(スペース除去、形式統一)は比較の精度を高める
エクセルでシート間の差分を比較する方法は一つではなく、データの状況や目的に応じて様々なアプローチが考えられます。本記事で紹介した関数やツールの特性を理解し、適切に使い分けることが、効率的で正確な差分比較に繋がるでしょう。まずはご自身の扱うデータにどの方法が適しているか、簡単なものから試してみてはいかがでしょうか。
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