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パワポで省略を示す波線の入れ方は?分かりやすい資料作りのコツを解説!

パワーポイントで資料を作成する際、情報を整理し、要点を絞って伝えることは非常に重要です。しかし、時にはグラフの数値が大きく飛んでいたり、リストの項目が多すぎたりして、そのまま載せると間延びしてしまうことがあります。そのような場合に役立つのが、中間を省略することを示す「波線」です。この波線を効果的に使うことで、スライドは格段に見やすくなる可能性があります。

ただ、いざパワポで省略の波線を入れたいと思っても、その方法がすぐに分からないかもしれません。パワーポイントで波線を下線のように使いたい、あるいはパワポで波線の引き方そのものを知りたい、という方もいらっしゃるでしょう。もしかすると、省略の波線はエクセルでは使ったことがあるものの、パワポでの勝手が違うと感じているかもしれません。

この記事では、パワーポイントで省略を示す波線を描画する方法から、パワポで省略の波線素材パワポの波線フリー素材といった素材を活用する際のポイントまで、分かりやすい資料作りのコツを幅広く解説していきます。

この記事を通じて、以下の点についての理解が深まるかもしれません。

・パワポの図形機能を使った基本的な波線の描き方

・作成した波線を縦に使ったり、下線のように見せたりする応用テクニック

・フリー素材や画像素材を利用する際のメリットと注意点

・状況に応じた波線の自作と素材利用の使い分けの考え方

パワポで省略の波線を描く基本的な方法

ここでは、パワーポイントに標準搭載されている機能を使って、パワポで省略の波線を自分で描画する基本的な方法について説明していきます。特別な素材を準備しなくても、いくつかのツールを知っていれば波線は作成可能です。順に見ていきましょう。

図形の「曲線」で省略の波線を描く

自由自在な「フリーフォーム」での作り方

パワポで省略の波線を縦に使うテクニック

描画した波線の色や太さを編集する

パワーポイントの波線を下線として使う

図形を使った省略の波線の作り方の応用

図形の「曲線」で省略の波線を描く

パワポの「図形」機能の中に用意されている「曲線」ツールは、省略を示す波線を描くための基本的な方法の一つと考えられます。これはパワポの標準機能であり、追加のインストールなどを必要とせず、直感的な操作で波打つ線を作成できるためです。

具体的な操作手順としては、「挿入」タブから「図形」を選択し、「線」のカテゴリ内にある「曲線」(S字がカーブしたようなアイコン)を選びます。スライド上で、波線の描き始めたい位置でまずクリックします。その後、マウスを動かし、波の「山」や「谷」にあたる中間地点でクリックを繰り返していきます。クリックするごとに、線が滑らかにカーブしながら追従していくのが分かるでしょう。最後に、描き終えたい位置でダブルクリックするか、Escキーを押すことで描画が確定し、一本の波線オブジェクトが完成します。

この方法のメリットは、何といってもその手軽さです。パワポさえあれば、誰でもすぐに試すことが可能です。また、クリックする間隔や位置の「ずれ」を調整することで、波の大きさ(振幅)や細かさ(周期)を、ある程度自由にコントロールできる可能性も秘めています。

一方で、デメリットとして挙げられるのは、完全に均一で対称的な、美しい波線を手作業で描くのが難しいという点です。クリックの位置や間隔が少しずれるだけで、波の形が不揃いになりがちです。機械的で正確無比な波線を求める場合には、この方法は最適ではないかもしれません。あくまで「手書き風」の、柔軟でフリーハンドに近い線を描くための機能と捉えるのがよいでしょう。

資料の中で、グラフの中間部分を大胆に省略したり、二つの項目を柔らかい雰囲気でつなげたりするような、デザイン的な柔軟性が求められる場面で役立つかもしれません。

自由自在な「フリーフォーム」での作り方

「フリーフォーム」ツールも、省略の波線を作る上で非常に強力な選択肢となる可能性があります。フリーフォーム機能には二種類ありますが、特に「フリーフォーム:図形」は、直線と曲線を組み合わせて、まさに自由な形状を描画できるためです。

操作方法として、「挿入」タブ→「図形」→「線」カテゴリ内の「フリーフォーム:図形」(角張ったS字のようなアイコン)を選択します。始点でクリックし、次に波の頂点となる部分でクリック、続けて波の谷となる部分でクリック、とカクカクとした線を描くようにクリックを繰り返していきます。最後にダブルクリックで確定すると、多角形の線ができあがります。この時点では波線ではありませんが、ここからが重要です。

描画したカクカクの線を選択し、右クリックから「頂点の編集」を選びます。すると、クリックした箇所(頂点)が黒い四角で表示されます。この頂点を一つずつ右クリックし、「頂点を中心にスムージングする」を選択していくのです。こうすることで、角張っていた部分が滑らかなカーブに変換され、制御された波線を作り出すことができます。

もう一つの「フリーフォーム:フリーハンド」(鉛筆マーク)を使う方法も考えられます。これは、マウスをドラッグした軌跡がそのまま線になる機能です。手早く波線を描きたい場合には、これが省略の波線の作り方として最速かもしれません。

フリーフォームのメリットは、その名の通り、非常に高い自由度です。特に「頂点の編集」を駆使すれば、既存の図形にとらわれない、資料のデザインに完璧にマッチした独特の波線を描くことが可能です。

デメリットは、フリーハンドの場合はマウス操作の技量が線の美しさに直結する点です。「頂点の編集」を使う方法は美しい線が作れますが、頂点一つひとつを設定する必要があり、相応の手間がかかることは否めません。作成者のスキルや、かけられる時間に応じて使い分ける必要があるでしょう。

パワポで省略の波線を縦に使うテクニック

作成した省略の波線を縦方向に利用することも、資料の表現力を高める上で有効なテクニックの一つです。プレゼンテーション資料では、情報は必ずしも左から右へ流れるとは限りません。省略の波線をパワポで縦に使うことで、縦に並んだ項目間の中間を省略する際にも、波線が視覚的な「中略」の記号として効果的に機能するためです。

最も簡単な方法は、前述の「曲線」や「フリーフォーム」などで作成した横向きの波線オブジェクトをまず選択することです。次に、オブジェクトの上部に表示される「回転ハンドル」(円形の矢印アイコン)をマウスで掴み、ドラッグして90度回転させます。このとき、Shiftキーを押しながら回転させると、15度単位で角度がスナップ(カクカクと動く)するため、正確に垂直・水平を保ちやすくなります。

あるいは、より確実な方法として、波線オブジェクトを選択した状態で、リボン(上部のメニュー)から「図形の書式設定」タブ(または「書式」タブ)を開き、「回転」グループにある「右へ90度回転」または「左へ90度回転」を選択する方法もあります。

縦にした波線は、様々な場面で活用が考えられます。例えば、組織図やフローチャートで、上位の階層と下位の階層の間に、詳細を割愛する長いプロセスが存在する場合などです。また、スライドの左右に二つのリストを並べて比較する際、片方のリストの項目数が多く、中間を省略して高さを揃えたい時などにも使えるでしょう。

注意点として、縦に使用する場合、波線の「波打つ向き」(左右どちらに膨らむか)が、デザイン的な印象に影響を与える可能性があります。資料全体の視線の流れや、隣接する要素とのバランスを見て、回転の向き(右90度か左90度か)を決定することが望ましいかもしれません。このテクニックを習得することで、レイアウトの柔軟性が格段に増すと言えるでしょう。

描画した波線の色や太さを編集する

自分で描画した波線は、パワポの標準機能を使って、その色、太さ、さらには線の種類(点線や破線など)を自由に編集することが可能です。これは、描画した波線が「図形」オブジェクトとしてパワポに認識されるためです。つまり、四角形や円を描いた時と同じ書式設定のオプションが、すべて適用されるということを意味します。

編集したい波線オブジェクトを選択した状態で、リボンの「図形の書式設定」タブを開くか、オブジェクトを右クリックして「図形の書式設定」作業ウィンドウを表示させます。設定項目は主に「図形の枠線」(または単に「線」)というセクションにまとめられています。

「色」の項目では、資料のテーマカラーや標準色から選ぶだけでなく、「その他の色」でRGB値やHLS値を指定して任意の色を作成することもできます。また、「スポイト」ツールを使えば、スライド上にあるロゴマークや写真など、他の要素から色を抽出し、波線に適用することも可能で、デザインの統一感を高めるのに役立ちます。

「太さ」の項目では、ポイント数(pt)で線の太さを細かく指定できます。0.25ptのような非常に細い線から、6pt以上の強調された太い線まで、資料のデザインや波線の目的に合わせて調整します。

「実線/点線」の項目では、線の種類を変更できます。省略記号としては実線が一般的かもしれませんが、デザイン上のアクセントとして、あえて波線を点線や破線にしてみる、といった使い方も考えられます。

この編集機能のメリットは、資料全体のデザインテイストに波線を完全に調和させられる点です。グラフの軸を省略するなら軸線と同じ色と太さに、テキストの中略ならテキストと同じ色に設定するなど、細やかな調整が資料の完成度を高めます。ただし、目立たせようとするあまり、奇抜すぎる色や太すぎる線を選ぶと、かえって視認性を損ねる可能性もあるため、注意が必要かもしれません。

パワーポイントの波線を下線として使う

作成した波線を、テキストの下に配置して「下線」のように見せて使うことも、一つの応用テクニックとして考えられます。MicrosoftWordには標準で波線の下線機能がありますが、残念ながらパワーポイントのテキスト編集機能には、標準で波線の下線は用意されていません。しかし、図形としての波線をテキストの下に手動で配置することで、パワーポイントで波線を下線のように見せることは可能です。

具体的な手順としては、まず通常通りテキストボックスを配置し、下線を引きたい文字列を入力します。次に、図形の「曲線」や「フリーフォーム」などを用いて、そのテキストの長さにちょうど合うような波線を描画します。このとき、波の細かさや大きさが、テキストのサイズ感と合っているかどうかがデザイン上のポイントになるでしょう。

描画した波線を、テキストボックスの真下にドラッグして配置します。位置の微調整は、矢印キーや、Altキーを押しながらのドラッグで行うとよいかもしれません。波線の色は、テキストの色と完全に一致させるか、あるいはテキストの色より少し薄いグレーや同系色に設定すると、デザイン的な一体感が出やすくなります。

このテクニックのメリットは、標準機能では不可能な「波線の下線」という装飾を実現できる点です。特定の単語を強調しつつも、直線の下線が持つ硬い印象を避け、より柔らかく、注意を引くような表現をしたい場合に有効でしょう。

ただし、大きなデメリットも存在します。それは、あくまで「図形」と「テキストボックス」という、二つの別々のオブジェクトを組み合わせているに過ぎないという点です。もし後でテキストの内容を修正したり、フォントサイズを変更したりした場合、波線の長さや位置、太さも手動で再調整する必要が出てきます。テキストの変更に波線が自動で追従するわけではないため、修正の手間が発生する可能性を考慮しなければなりません。運用する際は、テキストボックスと波線オブジェクトを選択して「グループ化」しておくことが、レイアウト崩れを防ぐために推奨されます。

図形を使った省略の波線の作り方の応用

パワポの図形機能をさらに応用することで、単なる一本の波線以上の、よりデザイン性を高めたオリジナルの省略記号を作成することも可能です。省略の波線の作り方は一つではなく、複数の図形を組み合わせたり、書式設定を工夫したりすることで、資料の目的に合わせた独自の表現を生み出せるからです。

例えば、前述の方法で波線を描いた後、その波線の両端に、小さな円(「図形」の「楕円」でShiftキーを押しながら描画)を配置する、というアイデアが考えられます。円は線と同じ色で塗りつぶしてもよいですし、白抜きにしてもよいでしょう。あるいは、円の代わりに短い縦線(「図形」の「直線」)を配置する方法もあります。これらは、建築図面や製図などで見られる省略記号のデザインに似ており、単なる波線よりも強く「ここからここまでが省略されている」ことを視覚的に示す効果が期待できるかもしれません。

別の応用例として、作成した波線をコピー&ペーストし、二本目の波線をわずかに上下(または左右)にずらして重ねることで、二重波線のような表現も可能です。これは、より強調したい省略箇所に使うと効果的かもしれません。

さらに、図形の「塗りつぶし」のパターン(例えば「シェブロン」や「波」のパターン)を活用したり、「図形の効果」を活用するのも一つの手です。作成した波線に「影」をつけてスライドから少し浮き上がらせたり、「光彩」効果で波線の周囲をぼんやりと光らせたりすることで、スライド全体のデザイン性を高めるアクセントとして機能させることもできるでしょう。

これらのメリットは、テンプレート的ではない、オリジナリティのある資料を作成できる点です。細部にまでデザインの意図を反映させることで、資料全体の説得力や、作成者のこだわりが伝わる魅力的なスライドになる可能性があります。

ただし、デメリットとしては、装飾に凝りすぎると作成に時間がかかる点が挙げられます。資料作成の本来の目的は、情報を分かりやすく、正確に伝えることです。装飾自体が目的化してしまい、かえって情報伝達の妨げにならないよう、バランス感覚が求められると言えるでしょう。

パワポの省略を波線素材で効率化する道筋

ここまでは、パワポで省略の波線を自作する方法を中心に見てきました。しかし、資料作成の効率を考えた場合、あらかじめデザインされた「素材」を利用するのも非常に賢明な選択肢です。ここでは、素材を活用する道筋について説明していきます。順に見ていきましょう。

パワポで省略の波線素材を利用する利点

パワポの波線にフリー素材を探す時の注意点

省略の波線でフリー素材を活用する場面

エクセルで省略の波線を使う方法との違い

パワポの波線の引き方と素材利用の使い分け

パワポで省略の波線を使う資料作成の総括

パワポで省略の波線素材を利用する利点

パワポで省略の波線素材を積極的に利用することには、資料作成の「時間短縮」と「デザイン品質の向上」という、二つの大きな利点があると考えられます。これは、自前で波線を描画する手間を完全に省略しつつ、プロのデザイナーが作成した、または機械的に生成された均一で美しい波線を、即座にスライドに適用できるためです。

最大のメリットは、やはり「効率化」でしょう。前述の通り、「曲線」ツールや「フリーフォーム」を駆使して、自分の理想とする滑らかで均整の取れた波線を手作業で描くのは、慣れていないと意外と時間がかかり、技量も必要となる場合があります。素材を利用すれば、保存しておいた素材ファイルをスライド上にドラッグ&ドロップするか、「挿入」メニューから画像や図形として挿入するだけで、わずか数秒後には高品質な波線がスライド上に配置されます。

もう一つの重要なメリットは、「デザインの均一性」と「品質の担保」です。手書きでは難しい、完璧なサインカーブのような波線や、デザイン性の高い(例えば、両端が細くなっている、グラデーションがかかっているなど)波線も、素材であれば簡単に利用できます。これにより、資料全体にプロフェッショナルな印象を与え、視覚的なノイズを減らす効果が期待できるでしょう。

ただし、素材を利用する際には注意点もあります。最も重要なのは、利用する素材のライセンス(利用規約)を必ず確認することです。商用利用が許可されているか、クレジット(出典元)の表記が必要かなど、提供元のルールを遵守する必要があります。また、素材の形式にも注意が必要です。背景が透明なPNG形式や、パワポ上で色やサイズを自由に編集できるベクター形式(SVGやEMFなど)の素材を選ぶことが、後々の編集のしやすさにつながるため望ましいと言えるでしょう。

パワポの波線にフリー素材を探す時の注意点

パワポの波線にフリー素材を探して利用することは、コストをかけずに資料の質を高める有効な手段ですが、いくつかの重要な注意点が存在します。これらを見落とすと、かえって資料の品質を下げたり、後々トラブルの原因になったりする可能性があるためです。

最も注意すべきは、素材の「ライセンス(利用規約)」の確認です。「フリー素材」という言葉は、多くの場合「無料」を意味しますが、「何をしても自由」という意味ではありません。素材提供サイトや作成者によって、利用条件は様々です。

よくある制限としては、「個人利用のみ可(商用利用は不可)」「改変(色の変更や変形)の禁止」「クレジット表記(出典元や作者名の明記)が必須」といったものがあります。特に、企業のプレゼンテーション資料や、顧客への提案資料など、ビジネスシーンで利用する場合は、「商用利用可」かつ「クレジット表記不要」のライセンスで提供されている素材を選ぶのが、最も安全な選択となる可能性が高いです。ライセンス違反は、著作権侵害などの法的な問題に発展するリスクもゼロではありません。

次に注意すべきは、素材の「品質」です。省略の波線でフリー素材を見つけても、そのデータの品質が低いと、資料全体の印象を損ねてしまいます。

具体的には、まず「解像度」です。解像度が低い画像素材(JPEGやPNG)は、スライド上で少し拡大したり、高解像度のプロジェクターやディスプレイで表示したり、あるいは印刷したりした際に、画像がぼやけたり、縁にギザギザ(ジャギー)が見えたりしてしまいます。できるだけ高解像度なデータを選ぶことが重要です。

さらに言えば、画像形式よりも「ベクター形式」(SVG、EMF、AIなど)の素材が理想的です。ベクター形式は、どれだけ拡大・縮小しても品質が劣化せず、多くの場合、パワポ上で色や線の太さを自由に編集できます。

また、画像の場合は「背景の透過処理」がされているかも確認ポイントです。背景が白く塗りつぶされている素材は、白い背景のスライド以外では、白い四角形が一緒に表示されてしまい、非常に使いにくいでしょう。背景が透明なPNG形式が推奨されます。

省略の波線でフリー素材を活用する場面

省略の波線でフリー素材は、特に「資料作成のスピードを最優先したい場合」や、「複数の資料間でデザインの一貫性を保ちたい場合」に、その真価を発揮すると考えられます。これは、描画にかかる時間をゼロにし、かつ、誰が使っても同じ品質の波線を安定して供給できるためです。

典型的な活用場面として、まず考えられるのは、定期的に作成・更新が必要なレポート(週報、月報など)や、ページ数が多くなりがちな企画書、提案書などです。これらの資料では、グラフや表の中間省略、詳細な手順リストの中略など、省略記号を使う機会が頻繁に訪れる可能性があります。そのたびに手作業で波線を描画していては、非効率的です。

ライセンスをクリアした、使い勝手の良いフリー素材をいくつか見つけて、手元のフォルダにストックしておく、あるいはパワポの「個人用テンプレート」や「図形」として保存しておけば、必要な時にすぐにコピー&ペーストして使用できます。この「すぐ使える」という状態が、作業効率を大幅に改善する鍵となります。

また、チームや部署、あるいは企業全体で使用する資料のデザインテンプレート(共通ひな形)を整備する際にも、フリー素材は大きく貢献するでしょう。

テンプレートファイル内のスライドマスターや、参照用スライド(「このパーツを使ってください」という見本ページ)に、「省略記号用素材」として、特定の波線素材をあらかじめ組み込んでおくのです。こうすることで、資料作成者が複数人いても、誰が作成しても、同じデザインテイストの省略記号が使われることになります。これは、資料のブランドイメージやプロフェッショナルな統一感を保つ上で非常に有効な手段と言えます。

逆に、フリー素材の活用が向かない場面としては、スライドのデザインと、見つけてきた素材のテイストがどうしても調和しない場合や、非常に特殊な形状(例えば、スライド上の特定の障害物を避けるような曲線)の波線が必要な場合などが考えられます。そのような限定的なケースでは、手間がかかってもフリーフォームなどで自作する方が、最終的な資料の品質が高まるかもしれません。

エクセルで省略の波線を使う方法との違い

省略の波線をエクセルで使う方法と、パワーポイントで使う方法を比較した場合、波線を描画するためのツール(「図形」機能など)自体には、両ソフト間で大きな違いはありません。しかし、それぞれのソフトウェアが持つ本来の目的(エクセルは表計算、パワポはプレゼンテーション)が異なるため、波線が求められる文脈や、主な活用の仕方が異なる可能性があります。

まず、描画機能に関しては、エクセルにもパワポとほぼ同様の「挿入」タブ→「図形」機能が搭載されています。したがって、「曲線」ツールや「フリーフォーム」ツールを使って、エクセルのシート上で波線を手作業で描画することは技術的に可能です。

エクセルでの主な利用場面として想定されるのは、やはり「表」や「リスト」に関連する省略です。例えば、縦に非常に長いデータリスト(顧客名簿や商品一覧など)や、横に長い時系列データ(売上推移など)のシートで、中間部分を「非表示」にした際、その非表示箇所を明示するために波線を配置する、といった使い方です。A列の項目1と項目100の間を省略したい場合に、2行目から99行目を非表示にし、1行目と100行目の間に波線図形を置く、といった具合です。

パワポとの明確な違いは、エクセルが「セル」という厳密なグリッド(格子)に基づいて構成されている点です。そのため、波線をセルの枠線に合わせて配置したり、特定のセル範囲を視覚的に省略していることを示したり、といった使い方が中心になるでしょう。

一方、パワポはスライドという自由なキャンバスが前提です。グラフそのものや、スライド上の図解(フローチャート、相関図など)、あるいはテキストブロックの中間を省略するなど、より「視覚的」「デザイン的」な文脈で波線が使われることが多い、という違いがあるかもしれません。

エクセルで図形としての波線を使う際の特有の注意点として、行や列の非表示・再表示、並べ替え(ソート)、フィルタリングなどを行った際に、配置した波線(図形オブジェクト)の位置が意図せずずれてしまう可能性があることが挙げられます。これを防ぐには、図形の書式設定(プロパティ)で、「セルに合わせて移動やサイズ変更をする/しない」といったオプションを適切に設定する必要があり、パワポよりも少し管理が複雑になるかもしれません。

パワポの波線の引き方と素材利用の使い分け

これまで見てきたように、パワポの波線の引き方(つまり自作する方法)と、既存の素材を利用する方法には、それぞれ異なる利点と欠点があります。どちらか一方が絶対的に優れているわけではなく、資料作成の目的や状況に応じて、これらを賢く使い分けるのが、効率的かつ効果的な資料作成につながる道筋と言えるでしょう。

自作(引き方)を選択するのが適している場面:

  • 高いカスタマイズ性が必要な場合: スライド上の特定の要素(例:複雑なグラフの隙間、二つの図形の間)に、長さやカーブの具合をぴったりと合わせた特殊な形状の波線が必要な場合。素材では対応しきれない細やかな調整が求められる時です。
  • デザインの調和を最優先する場合: 資料全体のデザインが非常にシンプルで、既存の素材のテイスト(線の太さや波の形)が、どうしても浮いてしまうと感じる場合。スライドの他の線や図形と完全に同じスタイルで描画したい時です。
  • ライセンス管理を避けたい場合: フリー素材であっても、利用規約の確認や管理が面倒だと感じる場合。自作であれば、著作権や利用規約の問題は一切発生しません。

素材利用を選択するのが適している場面:

  • スピードが最優先される場合: 資料作成の締め切りが迫っており、とにかく早くスライドを完成させたい場合。描画にかかる時間をゼロにできる素材利用は最適です。
  • デザインの品質を手軽に担保したい場合: 自分で描画すると均一な波線が作れない、デザインスキルに自信がない、という場合。プロ品質の素材を使えば、手軽に見た目を整えられます。
  • デザインの統一性を保ちたい場合: チームでの共同作業や、定期レポートなど、複数の資料やスライド間で、常に同じデザインの省略記号を使いたい場合。テンプレート化しやすい素材利用が適しています。

このように考えると、両者は対立するものではなく、補完し合う関係にあると言えます。例えば、資料のラフ案(下書き)の段階では、手軽な素材を仮置きして全体のレイアウトや情報構造をスピーディに固め、最終的な仕上げの段階で、デザインの細部に合わせて自作の波線に差し替える、といったハイブリッドな進め方も考えられます。

ご自身のスキル、かけられる時間、そしてその資料が持つ目的に照らし合わせて、その都度、最も合理的な選択をすることが求められるのではないでしょうか。

パワポで省略の波線を使う資料作成の総括

今回はパワポで省略の波線をテーマに、その描画方法から素材の活用法までお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。

・パワポで波線を描く基本は「図形」の「曲線」ツールである

・「曲線」ツールはクリックで山と谷を作りダブルクリックで確定する

・手軽だが均一な波線を描くのは難しい可能性がある

・「フリーフォーム:図形」は頂点の編集で滑らかな波線が作れる

・「フリーフォーム:フリーハンド」はドラッグで素早く描けるが技量が必要

・作成した波線は回転ハンドルで90度回し縦にも使える

省略の波線をパワポで縦に使うと縦長のリスト省略に対応できる

・波線は図形であり「図形の枠線」で色や太さの編集が可能

・標準機能にないパワーポイントの波線を下線として使う応用も可能

・ただしテキストと図形は連動しないため修正時に手間がかかる

パワポで省略の波線素材の利用は時間短縮と品質向上に寄与する

パワポの波線にフリー素材を探す際はライセンス確認が最重要である

・商用利用可か、クレジット表記不要か、などの条件を見る

・素材の品質(解像度、ベクター形式、背景透過)も重要である

省略の波線はエクセルでも描けるがセルの影響を考慮する必要がある

パワポの波線の引き方(自作)と素材利用は状況に応じて使い分ける

波線一つとっても、その表現方法は多岐にわたります。資料の目的は、あくまで情報を分かりやすく伝えることです。

波線は、その目的を達成するための補助的なツールの一つに過ぎません。

この記事が、皆さまの資料作成における表現の幅を広げ、より伝わりやすいスライド作りのお役に立てれば幸いです。

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