エクセルのデータ入力作業において、郵便番号と住所の入力は手間がかかる作業の一つではないでしょうか。特に大量のリストを作成する場合、郵便番号を入力し、それに対応する住所を一つひとつ確認して打ち込む作業は、時間も労力も要します。もし、エクセルで郵便番号から住所を自動入力できるとしたら、作業効率は飛躍的に向上するかもしれません。あるいは逆に、エクセルで住所から郵便番号を自動入力したいと考える場面もあるでしょう。
実際、エクセルには郵便番号と住所を連携させるためのいくつかの方法が存在するようです。特定の関数を活用する方法や、エクセルの標準機能ではないものの、アドインを利用する方法、さらには外部のデータを参照するアプローチも考えられます。しかし、いざ試してみると、エクセルで郵便番号から住所ができない状況に直面することもあるかもしれません。例えば、特定の関数が期待通りに動作しない、あるいはWindows10の環境で設定がうまくいかないといったケースです。
この記事では、エクセルで郵便番号から住所を自動入力する関数や、その便利な使い方について調査した情報をご紹介します。
・エクセルで郵便番号から住所を自動入力する主な方法
・VLOOKUP関数やWEBSERVICE関数などの具体的な活用法
・逆に住所から郵便番号を自動入力する方法
・自動入力ができない場合の一般的な原因と対処のヒント
エクセルで郵便番号から住所を自動入力する関数の方法
ここでは、エクセルで郵便番号から住所を自動入力する関数や、関連する機能について説明していきます。どのような方法があり、それぞれにどのような特徴があるのか、順に見ていきましょう。
郵便番号から住所を自動入力する意義
WEBSERVICE関数で自動入力
VLOOKUP関数と辞書で自動入力
XLOOKUP関数での効率化
旧来の方法?郵便番号変換ウィザード
エクセルで郵便番号から都道府県のみ抽出
郵便番号から住所を自動入力する意義
データ入力の正確性と効率性は、ビジネスの多くの場面で求められる要素です。特に顧客リストや配送先リストの管理において、郵便番号と住所のデータは非常に重要となります。この二つの情報が正確に紐付いていなければ、郵便物の誤配や配送遅延といった問題を引き起こす可能性があります。しかし、手作業でこれらの情報を入力または照合する場合、入力ミス(タイポ)や確認漏れといったヒューマンエラーが発生するリスクが常につきまといます。
エクセルで郵便番号から住所を自動入力する仕組みを導入する最大の意義は、このヒューマンエラーを最小限に抑えつつ、作業時間を大幅に短縮できる点にあると考えられます。郵便番号という比較的単純な数値データ(7桁)を入力するだけで、それに対応する都道府県、市区町村、それ以降の住所情報が自動で補完されるのであれば、入力の手間が省けるだけでなく、データの不整合を防ぐことにも繋がるでしょう。これにより、リストの品質が向上し、後続の作業(ダイレクトメールの発送、配送業務など)がスムーズに進むことが期待されます。また、入力作業者が本来注力すべき、より付加価値の高い業務に時間を使うことができるようになる点も、大きなメリットと言えるかもしれません。
WEBSERVICE関数で自動入力
エクセルで郵便番号から住所を自動入力する関数として、比較的新しいバージョン(Excel2013以降やMicrosoft365)で利用可能なWEBSERVICE関数とFILTERXML関数を組み合わせる方法が注目されています。これは、エクセルの機能だけで完結するのではなく、インターネット上にある郵便番号検索のWebAPI(Webサービス)にアクセスし、その結果を取得する方法です。最大の利点は、日本郵便が提供するような最新の郵便番号データを別途ダウンロードして辞書として管理する必要がないことかもしれません。
具体的な手順としては、WEBSERVICE関数を使って指定した郵便番号をパラメータとしてAPIにリクエストを送信します。すると、APIはXML形式などで該当する住所データを返してきます。そのままだとエクセルのセルで扱いにくいため、FILTERXML関数を使って、返されたXMLデータの中から必要な住所情報(都道府県、市区町村など)だけを抽出します。この方法であれば、郵便番号が変更された場合でも、API側が最新情報に対応していれば、エクセル側で特別な更新作業をせずとも正しい住所が得られる可能性があります。ただし、この機能はインターネット接続が前提となる点、利用するWebAPIの仕様変更やサービス停止のリスクがある点には留意が必要でしょう。
VLOOKUP関数と辞書で自動入力
古くからエクセルでデータベース的な参照を行う際に用いられてきたのがVLOOKUP関数です。エクセルで郵便番号から住所を自動入力する方法として、このVLOOKUP関数を活用することも可能です。ただし、WEBSERVICE関数とは異なり、VLOOKUP関数は参照すべき「辞書」を自分で用意する必要があります。一般的には、日本郵便のウェブサイトで公開されている最新の郵便番号データ(通称KEN_ALL.CSV)をダウンロードし、それをエクセルの別シートに貼り付けて、郵便番号簿のデータベースとして利用します。
このシートを準備した後、住所を表示したいセルにVLOOKUP関数を入力します。検索値として郵便番号が入力されたセルを指定し、範囲として郵便番号簿のシート全体を選択、列番号として住所情報(都道府県、市区町村など)が含まれる列を指定し、検索方法にFALSE(完全一致)を指定するのが基本的な使い方です。この方法のメリットは、一度辞書データさえ作成してしまえば、オフライン環境でも高速に動作する点です。一方で、郵便番号データは定期的に更新されるため、辞書のメンテナンス(ダウンロードと差し替え)を怠ると、情報が古くなってしまう可能性がある点はデメリットと言えるかもしれません。
XLOOKUP関数での効率化
VLOOKUP関数は非常に便利ですが、いくつかの制約も存在しました。例えば、検索値(郵便番号)が参照範囲の一番左の列になければならない、複数の列(例:都道府県と市区町村)を一度に返すのが難しいといった点です。しかし、比較的新しいバージョンのエクセル(Microsoft365やExcel2021以降)では、XLOOKUP関数という、より強力で柔軟な関数が導入されています。
XLOOKUP関数も、VLOOKUP関数と同様に郵便番号の辞書データを必要とします。しかし、XLOOKUP関数では、検索範囲(郵便番号の列)と戻り範囲(住所の列)を個別に指定できます。これにより、郵便番号の列が辞書データの何列目にあっても問題なく検索できるため、辞書データのレイアウトに対する自由度が高まります。さらに、戻り範囲として複数の列(例:都道府県、市区町村、町域の3列)を一度に指定することも可能です。これにより、一つの数式で関連する住所情報をまとめて取得できる場合があり、VLOOKUP関数を列ごとに複数記述するよりも数式がシンプルになる可能性があります。VLOOKUP関数に慣れている方も、もしXLOOKUP関数が使える環境であれば、こちらの利用を検討する価値は十分にあるでしょう。
旧来の方法?郵便番号変換ウィザード
関数とは異なりますが、エクセルで郵便番号から住所を入力する方法として「郵便番号変換ウィザード」というアドイン機能がかつてはよく知られていました。これは、入力された郵便番号を基に住所を検索し、指定したセルに自動入力してくれる専用ツールです。特に、既に入力されている大量の郵便番号を一括で住所に変換したい場合や、逆に住所から郵便番号を一括で検索したい場合に便利な機能でした。
しかし、この郵便番号変換ウィザードは、エクセルのバージョンアップに伴い、標準では搭載されなくなったり、利用が非推奨となったりしている傾向があります。特に最近のExcelバージョンや64ビット版のExcelでは、既定で利用できないか、別途Microsoftのサイトからダウンロードして手動で組み込む必要があるかもしれません。また、このウィザードが参照する辞書データも、別途インストールや更新が必要な場合があります。もし、エクセルで住所から郵便番号をウィザード使わない方法を探しているのであれば、前述のWEBSERVICE関数やVLOOKUP関数などのアプローチが、より現代的な解決策となる可能性が高いです。ウィザードの利用を検討する場合は、自身のExcelバージョンで利用可能か、辞書の更新はどうなっているかを確認する必要があるでしょう。
エクセルで郵便番号から都道府県のみ抽出
郵便番号から住所全体(都道府県、市区町村、町域)を取得するのではなく、エクセルで郵便番号から都道府県だけを抽出したいというニーズもあるかもしれません。例えば、データを都道府県別に集計・分析したい場合などです。この場合も、基本的なアプローチは住所全体を取得する方法と同様です。
VLOOKUP関数やXLOOKUP関数を使用する方法が最も一般的でしょう。日本郵便の郵便番号データ(KEN_ALL.CSV)を辞書として利用する場合、このデータには通常、郵便番号、都道府県名、市区町村名、町域名などが別々の列に格納されています。そこで、VLOOKUP関数やXLOOKUP関数を設定する際に、戻り値として「都道府県名」が含まれる列を指定するだけです。例えば、VLOOKUP関数で辞書データの範囲を指定した後、列番号に都道府県名の列が左から何番目にあたるかを指定します。XLOOKUP関数であれば、戻り範囲として都道府県名の列そのものを指定します。これにより、郵便番号に対応する都道府県名だけを正確に、かつ自動で別のセルに表示させることが可能になります。住所全体は不要で、都道府県コードや都道府県名だけが必要な場合には、この方法が効率的であると考えられます。
エクセルで郵便番号から住所への自動入力と逆変換の関数
ここでは、郵便番号から住所への自動入力がうまくいかない場合の対処法や、逆に住所から郵便番号を自動入力する関数など、応用的な内容について調査していきます。順に見ていきましょう。
エクセルで郵便番号から住所ができない?
エクセルで住所から郵便番号を自動入力
PHONETIC関数を使う方法
エクセルで住所から郵便番号をVLOOKUPで
エクセル住所から郵便番号をWindows10で
エクセルで郵便番号から住所の自動入力や関数利用の総括
エクセルで郵便番号から住所ができない?
エクセルで郵便番号から住所の自動入力を試みたものの、期待通りに動作せず「できない」と感じるケースも少なくないようです。その原因は、使用している方法によって様々である可能性が考えられます。例えば、VLOOKUP関数やXLOOKUP関数を使用している場合、最も単純な原因は参照する辞書データ(KEN_ALL.CSVなど)が正しく設定されていない、あるいはデータが古いことです。また、検索値となる郵便番号の形式(ハイフンの有無、全角/半角)が、辞書データと一致していないために「#N/A」エラーが発生することもあります。
WEBSERVICE関数を使用している場合は、インターネット接続が不安定であるか、参照先のWebAPIが一時的に停止している、またはサービス自体が終了・仕様変更している可能性が疑われます。また、企業のセキュリティポリシーによっては、外部APIへのアクセスが制限されていることもあり得ます。さらに、後述するPHONETIC関数を利用して住所から郵便番号を取得しようとしてもうまくいかない場合、それはIME(日本語入力システム)の郵便番号辞書が有効になっていないか、そもそも住所の入力方法が郵便番号からの変換ではなかった、という根本的な誤解が原因である可能性も高いです。問題に直面した際は、どの方法で試しているのかを明確にし、それぞれの方法特有の原因を探ることが解決の近道となるでしょう。
エクセルで住所から郵便番号を自動入力
これまでは郵便番号から住所を自動入力する方法を見てきましたが、逆にエクセルで住所から郵便番号を自動入力したいという需要も多く存在します。例えば、既に入力されている住所録から郵便番号を補完したい場合などです。この逆変換は、郵便番号から住所を検索するよりも技術的なハードルが少し高い側面があるかもしれません。なぜなら、住所の表記(例:「1丁目2番3号」と「1-2-3」)には揺れがあり、また一つの郵便番号が複数の町域をカバーしている場合もあれば、逆に一つの町域(特に大口事業所)が固有の郵便番号を持つ場合もあるからです。
主な方法としては、郵便番号から住所への変換と同様に、WEBSERVICE関数を用いて外部のAPI(住所から郵便番号を検索できるもの)を利用する方法が考えられます。この場合、住所文字列をAPIに送信し、返ってきた郵便番号をセルに表示します。もう一つは、PHONETIC関数を利用する方法ですが、これは後述するように、住所入力時の特定の操作に依存する方法です。また、VLOOKUP関数を使う方法も理論上は可能ですが、住所表記の揺れを吸収するのが難しく、高度なデータクレンジングや検索ロジックが必要になる可能性があるため、難易度は高いかもしれません。
PHONETIC関数を使う方法
エクセルで住所から郵便番号を自動入力する方法として、PHONETIC関数が紹介されることがあります。しかし、この関数の動作を正しく理解しておく必要があります。PHONETIC関数は、セルの値そのものではなく、そのセルに入力された際の「ふりがな(読み仮名)」情報を返す関数です。では、なぜこれが住所から郵便番号の取得に使えるのでしょうか。
それは、MicrosoftIMEなどの日本語入力システム(IME)の「郵便番号辞書」機能を利用している場合に限られます。IMEの郵便番号辞書が有効になっていると、例えばセルに「1000014」と全角で郵便番号を入力し、スペースキーで変換すると、候補に「東京都千代田区永田町」といった住所が表示されます。この変換操作によって住所を入力した場合、エクセルはそのセルの「ふりがな」情報として、変換元となった郵便番号「1000014」を内部的に保持しています。PHONETIC関数は、この保持されている「ふりがな」情報(つまり郵便番号)を取り出すための関数なのです。したがって、もしセルに住所を直接手入力(例:「とうきょうとちよだく…」と入力)していた場合、PHONETIC関数が返すのは「トウキョウトチヨダク…」という読み仮名であり、郵便番号にはなりません。この関数は、あくまでも「郵便番号変換で住所を入力した」という前提があって初めて機能する方法と言えます。
エクセルで住所から郵便番号をVLOOKUPで
エクセルで住所から郵便番号をVLOOKUPで検索することは、理論上は不可能ではありませんが、実用的には多くの困難が伴う可能性があります。VLOOKUP関数は、検索値と完全に一致するデータを参照範囲の左端列から探すのが基本です(あいまい検索も可能ですが、データがソートされている必要あり)。郵便番号から住所を検索する場合、キーとなる郵便番号は「100-0014」のように一意性が高いため、VLOOKUPは非常に有効です。
しかし、住所から郵便番号を検索する場合、キーとなる住所の表記は「東京都千代田区永田町1-2-3」「東京都千代田区永田町一丁目二番地三号」のように、非常に揺れが大きくなります。日本郵便の郵便番号データ(KEN_ALL.CSV)を辞書として使おうにも、このデータは通常、郵便番号をキーとして住所が分割して格納されています。住所をキーにしてVLOOKUPで検索するためには、住所表記を正規化(例えば「1丁目」を「1-」に統一するなど)し、検索しやすい形に加工した専用の逆引き辞書を別途作成する必要があります。これは高度なデータ加工技術を要するため、単純なVLOOKUP関数の利用だけでは、エクセルで住所から郵便番号の自動入力を実現するのは難しい場合が多いと考えられます。
エクセル住所から郵便番号をWindows10で
エクセルで住所から郵便番号の自動入力を試みる際、特にPHONETIC関数を利用する方法は、OS(オペレーティングシステム)であるWindows10のIME設定に依存します。前述の通り、PHONETIC関数が郵便番号を返すのは、IMEの郵便番号辞書機能を使って住所が入力された場合のみです。したがって、Windows10環境でこの機能を利用するには、まずIMEの設定を確認し、郵便番号辞書が有効になっていることを確認する必要があります。
Windows10では、アップデートによってIMEの設定画面へのアクセス方法が変更されていることがあります。一般的には、タスクバーのIMEアイコン(「あ」や「A」など)を右クリックし、「プロパティ」や「設定」を選択します。その中の「辞書/学習」や「詳細設定」といった項目に、「郵便番号辞書」や「MicrosoftIME郵便番号辞書」といったオプションがあり、それが「オン」または有効になっているかを確認します。Windows10のバージョンによっては(例えばVersion2004以前と以降で)、設定画面の構成が異なる場合があるため注意が必要かもしれません。この設定が正しく行われていなければ、いくら郵便番号で住所を変換入力したつもりでも、PHONETIC関数は郵便番号を返してくれないでしょう。
エクセルで郵便番号から住所の自動入力や関数利用の総括
今回は、エクセルで郵便番号から住所の自動入力に関連する関数や機能についてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・エクセルで郵便番号から住所を自動入力することは作業効率化と正確性向上に寄与する
・主な方法にはWEBSERVICE関数、VLOOKUP/XLOOKUP関数、旧郵便番号変換ウィザードがある
・WEBSERVICE関数は外部APIを利用し、辞書管理が不要な場合がある
・VLOOKUP関数やXLOOKUP関数は日本郵便の郵便番号データを辞書として参照する
・辞書データ(KEN_ALL.CSV)は定期的な更新が必要となる
・XLOOKUP関数はVLOOKUP関数より柔軟な検索が可能
・郵便番号変換ウィザードは古いExcelバージョンでの機能である可能性が高い
・エクセルで郵便番号から都道府県のみを抽出することも関数で可能
・自動入力が「できない」原因は方法(VLOOKUP、WEBSERVICEなど)により異なる
・辞書設定ミス、郵便番号形式の不一致、ネット接続不良などが原因として考えられる
・逆にエクセルで住所から郵便番号を自動入力する方法も存在する
・住所から郵便番号への変換はWEBSERVICE関数やPHONETIC関数が利用される
・PHONETIC関数はIMEの郵便番号辞書機能で住所を入力した場合にのみ有効
・PHONETIC関数はセルの「ふりがな」情報(=入力元の郵便番号)を取得する
・Windows10環境ではIMEの郵便番号辞書設定の確認が重要
郵便番号と住所の相互変換は、データ入力作業を効率化するための重要なテクニックの一つと言えるでしょう。ご自身のExcelのバージョンや作業環境(オンライン/オフライン)、管理の手間などを考慮し、最適な方法を選択することが求められるかもしれません。この記事が、エクセルでの住所管理作業のヒントになれば幸いです。
エクセルには、ほかにも業務を効率化するための様々な関数や機能が備わっています。次にどのような機能を調べてみるか、検討してみるのも良いかもしれませんね。
これはCTAサンプルです。
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